離婚は通常、協議離婚が全体の80%以上を占め、調停離婚は約9%程です。
このように、通常、協議離婚で離婚に至るケースが多いですが、相手方に、協議離婚に応じてもらえない場合には、すぐに離婚の裁判をするのではなく、家庭裁判所に離婚調停の申立てを行う必要があります。
この調停には、裁判のような強制力はないため、裁判所として離婚が適切だと判断する場合でも、最終的に夫婦の合意がなければ、離婚は成立しません。
調停において、相手方がどうしても離婚に応じない場合は、ようやく離婚裁判になります。
調停では、
① 離婚の話し合いがまとまらない場合
② また別れることには同意できても、親権者・監護者が決まらない場合
③ 養育費、財産分与、慰謝料、面接交渉などの条件で、同意できない場合
等で、家庭裁判所に調停を申し立てて離婚することです。
また、離婚するか・どうかまだ気持ちがはっきり決まらなくて迷っている状況でも、調停を申し立てることができます。
家庭裁判所の夫婦関係に関する調停は、夫婦関係の調整調停と分類されているので、必ずしも離婚を求める為だけに行うものではなく、各夫婦の悩みに合わせて裁判所が夫婦関係の仲裁をしてくれるものです。
ですから、離婚の理由は問われません。
更に、調停の申立てに、法律的な離婚理由は必要ありません。
有責配偶者(離婚に至る原因を作った配偶者)からの申し立てかどうかは問われませんから、有責者からの調停申立も認められます。
前述したように、離婚そのものに限らず、親権者・監護者、養育費、財産分与、慰謝料、婚姻費用、面接交渉など離婚に関するあらゆる問題を提起できます。
離婚の意思は双方合致しているけれど、離婚に伴う他の問題が解決されていないため協議離婚ができないような場合でも、調停を申し立てることができます。
離婚調停では調停員という第三者と話し合いしながら問題解決していきますから、離婚で抱えている問題を提起することができます。
調停で離婚協議するメリットは以下の通りです。
① プライバシーが守られる
調停は、家事審判官や調停委員といった第三者に離婚に至った事情を説明しますが、家事審判官や調停委員には、担当した事件についての秘密保持義務がありますし、調停そのものは非公開で行われますので、個人のプライバシーが外部に漏れることはありません。
裁判離婚では、裁判の審理そのものが公開の場で行われますので、他人に聞かれたくないことも秘密にすることができません。
② 調停申立ての理由に制約はない
調停を申し立てるための理由については特に制約はありませんから、離婚に至る理由があれば調停を申し立てられます。
調停申立書は、家庭裁判所で入手できますが、その申立て動機欄には次のように例示されています。
① 性格があわない
② 異性関係
③ 暴力をふるう
④ 酒を飲みすぎる
⑤ 性的不満
⑥ 浪費する
⑦ 異常性格
⑧ 病気
⑨ 精神的に虐待する
⑩ 家庭を捨てて、かえりみない
⑪ 家族と折合いが悪い
⑫ 同居に応じない
⑬ 生活費を渡さない
⑭ その他
これらのように、様々な理由で申し立てることができます。
離婚調停手続きは、家庭裁判所において、調停委員二名が、双方から事情を聞き裁判官の指揮のもと、両者の間に入って調停案を示すなどして、当事者間で公正で具体的に妥当な合意を成立させ、紛争の自主的な任意的解決をはかろうとするものです。
調停は、家事裁判官一人と二人以上の家事調停員、申立て人、相手と五人で話し合われますが、実務では家事裁判官が少ないので、二人の調停委員が中心になって進めます。
ですから、裁判官が調停室に来るのは、調停が成立する期日のときなどに限られるのが実情です。
また、家庭裁判所では夫婦の待合室を別にするなどして、双方が顔をあわせないような配慮がなされます。
そして、調停は非公開ですから、夫と妻を交代で調停室に呼んで、事情を聞きながら夫婦がお互いに合意できる点を探っていきます。
そして、申立人と相手が直接話し合うことはありません。
相手の暴力が原因の場合等は、申し立てのときに申立人の住所を相手に知られたくない場合には、事前にその旨を裁判所に申し立てておけば配慮してくれます。
申立書は、全国の家庭裁判所の窓口に、定型化された書類が備えてあります。
家庭裁判所によっては、出向かなくてもFAXで簡単に申立書とサンプルを入手できますから、事前に該当する裁判所に確認すれば良いでしょう。
そして、取得した用紙に申立の趣旨、申立の実情など必要な事項を記入すれば完了です。
同居している時は、二人の住所地の家庭裁判所に、別居している時は、相手の住所地の家庭裁判所に調停申立書を出します。
尚、申立には夫婦の戸籍謄本一通が必要です。
その他に夫婦関係の破綻を示す資料があれば一緒に添付。申し立て人の印鑑が必要です。
尚、夫婦以外の第三者が申立人となることはできません。
離婚調停書は下記に沿って記入します。
① 申立ての趣旨について :
親権者、養育費、財産分与、慰謝料の金額は、申立人の希望額を記入します。
希望額ですから、欲張って書きたいと思いますが、現在の生活状況を考えた上で、書き入れましょう。
そして、その金額を基準に調停の場で調整されていくことになります。
② 申立人の実情について :
結婚から離婚を決意するまでに至る経緯と心情を簡潔に記入します。
特に離婚の決意については、いろいろ書き続けたいと思いますが、調停が始まればいくらでも詳細を話す機会を与えてくれますので、簡潔に書いても心配ありません。
調停申し立ての費用は、費用は印紙代900円で、呼び出し通知の切手代約800円(各裁判所で異なります)程度です。
調停を申し立てる家庭裁判所は、次のうちのどちらかです。
① 相手方の住所地の家庭裁判所
② 夫婦が合意して決める家庭裁判所
夫婦が合意すれば、全国どこの家庭裁判所でも都合の良いところを選べます。
裁判所の指定日に出頭します。
調停の申し立てが受理されると、調停の期日が決められて、調停の申立人と相手方に「令和xx年xx月xx日xx時にxxx家庭裁判所に出頭してください。」という、調停期日呼出状が送られます。
申立書の写し等は送られませんので、具体的にどのような内容で申し立てられているかは相手方にはわかりません。
そして、第一回目の調停期日は裁判所によって指定されます。
どうしても出頭できないときには、前もって期日変更の申請書を提出しておけば、期日を変更してもらうことも可能です。
二回目以降の調停期日は、実際の調停のときに決められます。
夫婦間の話し合いでは解決が見込めない場合や、相手方が出頭しないときなど、調停を長引かせても問題解決できないと裁判所が判断した場合には、調停不成立になります。
これに対して、不服申し立てはできません。
不調の場合、裁判官が当事者の最終意見を聞いて不成立を判断し、不調調書を作成します。
当事者双方へ、の調停調書正本の送達申請をします。
調停調書は判決と同じ効力がありますから、強制執行ができます。
ですから、慰謝料請求や養育費等の請求にも、有効に活用できます。
調停調書が作成された時点で、調停離婚は成立していますが、戸籍に記載してもらうために、申立人は、離婚届を調停成立の日から10日以内に本籍地あるいは住所地の市区町村役場に提出する必要があります。
申立人が提出しないときには、調停成立後10日たてば、相手方から離婚届を提出することができます。
調停調書には、離婚の成立以外にも、その他の合意内容のすべてが記載されていますが、これを役所に提出することに抵抗を感じる場合には、裁判書が当事者の求めに応じて別途作成してくれる、離婚の成立と親権者だけが記載された「簡略調書」を、調停調書の代わりに提出することもできます。
届出に必要な書類は、離婚届(相手方と証人の著名、捺印は必要ありません)、調停調書の謄本、戸籍謄本(本籍地でない役所に出す場合)です。
調停によって離婚の合意が成立し、調停委員が離婚するのが妥当と認めた場合には、調停は成立します。
調停内容がまとまると、裁判官は調停の行われている部屋で当事者の前で調書条項を読み上げ、当事者に確認させます。
もし、調停内容が間違っている場合は、その場で訂正してもらう必要があります。
また、内容の意味がわからなければ、納得できるまで説明を受ければ良いです。
納得できないで成立すると、後で問題になりますから、内容を完璧に把握する必要があります。
調停の内容は、調停成立のときに決まりますから、後で変更することはできません。
それというのも、調停調書は、確定した判決と同じ効力をもっていますので、作成後には記載内容に不服を申立てることはできません。
調停が成立すると、離婚の意思の確認の他、離婚に関する具体的な合意内容を『調停調書』として作成します。
この調書が作成された時点で、調停離婚は成立します。
離婚の成立日は、調停が成立した日になります。
調停の取り下げは、どうする?
申立人が、調停を取り下げたければ、いつでも取り下げることができます。
取り下げるには、家庭裁判所に取下書を提出すればよく、相手の同意も取り下げる理由も必要ありません。
調停は「個人出頭主義」が原則です。
どうしても本人が出頭できない場合には、弁護士を代理人として出頭することができますが、弁護士以外の代理人を立てるときには裁判所の許可が必要で、代理人許可申請を提出します。
第三者の代理人の許可難しいですが、状況把握できる当事者の親兄弟などは許可が出る場合があります。
ですから、必ずしも弁護士を雇う必要はなく、状況を良く知っている親兄弟に代理人になってもらう方が良い場合があります。
しかし、調停は本人が出頭するのが原則です。
ただし、調停が慰謝料や財産分与など、お金の問題に限られているときは、弁護士の出頭だけで進められることもあります。
また、病気などで、どうしても出頭できないときにも代理人だけで出頭することが許されていますが、調停成立のときには、必ず本人が出頭しなければなりません。
また、裁判所から呼び出しが出ているのに、相手が調停に出頭しない場合が多いです。
この場合、家庭裁判所は呼出しを重ねます。
呼出しを重ねても出頭しないときは、調査官が説得する場合があります。
それでも出頭しなければ、調停を取り下げるか、調停不成立となります。
申立書が受理されれば、約一ヶ月前後で第一回目の調停日の通知が来ます。
但し、都市部の家裁は込んでいるので、始まるまで2か月程かかる場合があります。
調停はその後、約 一ヶ月に一回の割で開かれ、数回継続されます。
尚、一回の調停時間は個別事案によりますが、40分から1時間前後です。
調停終了までには、60%前後が3ヶ月以内で成立し、残り20%前後が六ヶ月以内に処理されています。
また、半年程で、調停成立、不成立、取り下げ、など何らかの結論、見通しがたつことが普通です。
当事者双方への調停調書正本の送達申請をします。
調停調書は判決と同じ効力がありますから、強制執行ができます。
そのためにも、相手方への送達が必要になります。
調停調書が作成された時点で、調停離婚は成立していますが、戸籍に記載してもらうために、申立人は離婚届を調停成立の日から10日以内に本籍地あるいは住所地の市区町村役場に提出する必要があります。
申立人が提出しないときには、調停成立後10日たてば、相手方から離婚届を提出することができます。
調停調書には、離婚の成立以外にも、その他の合意内容のすべてが記載されています。
これを役所に提出することに抵抗を感じる場合には、裁判書が当事者の求めに応じて別途作成してくれる、離婚の成立と親権者だけが記載された「簡略調書」を、調停調書の代わりに提出することもできます。
届出に必要な書類は、離婚届(相手方と証人の著名、捺印は必要ありません)、調停調書の謄本、戸籍謄本(本籍地でない役所に出す場合)です。
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