おひとり様とは、未婚又は配偶者との離別により一人で生活している人をいい、男女問いません。
そのおひとり様が遺言書を残さずに亡くなった場合は、おひとり様の法定相続人が相続されることになります。
一般的におひとり様が亡くなる年齢では既に両親が亡くなっている場合が多く、兄弟姉妹が相続人になることが多いです。
兄弟姉妹と仲が良い場合はそのまま相続されることも良いですが、関係性が良くない場合は、苦労して蓄えた自分の財産を与えたくないと考えることも理解できます。
また相続人もいない場合は、財産は国庫に帰属されます。
仲の悪い兄弟姉妹や国庫に帰属されるのが嫌ならば、遺言書作成することをお勧めします。
遺言書を作成することで、あなたの財産は自由に処分することができます。
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近年離婚や配偶者の死亡、さらに老後をひとりで生活する方が増加して、終の人生をひとりで過ごす方が増えています。
また、婚姻後も子供がいないケースもあります。
配偶者や子供がいない場合で亡くなったら、まず第1順位の相続人である子供がいないので、第2順位である自身の両親が相続人となりますが、当人が死亡時に60歳を過ぎていれば、その両親は90歳前後になっており、いくら長寿大国といえ、通常では両親は当人より先に亡くなっていると考えられます。
そうすると、第3順位の兄弟姉妹及びその代襲者(おい・めい)が相続人となります。
普段から兄弟姉妹と交流があり、仲が良ければ生前に相続についても話し合いをして死後の葬式を含めての依頼ができますが、最近は兄弟姉妹といえども疎遠になりがちで、特に独身をとおしていた方は地域社会との関係も遮断しているケースが増えています。
その結果、疎遠になった兄弟姉妹やおいやめい達に突然財産が転がり込むことになり、殆ど会ったこともない相続人間で、争いが起こることも予想されます。
そのようなことを避けるためにも「遺言書」を作成することで、遺産を懇意にしていた友人や知人、もしくはお世話になった人に「遺贈」するか、社会のため公共事業に寄付することができます。
また、遺言書により兄弟姉妹には遺留分が無くなるので、ご自身が自由に財産分配ができます。
なお、「遺贈」とは、遺言によって、誰にどのような財産を承継させるかを定めることを言います。
遺贈は、誰に何を承継させるかを定めるものですから、相手は必ずしも法定相続人とは限りませんので、第三者に承継させる場合は、「遺贈」という形をとることになります。
遺贈には、「特定遺贈」と「包括遺贈」の2種類があります。
「特定遺贈」は、特定の財産(例えば、特定することのできる車や絵画等)を承継する人を遺言で定める場合を言います。
「包括遺贈」とは、特定の財産ではなく、例えば、「財産の三分の一を誰々に」と言うように、相続分の割合を定める場合を言います。
また、「死因贈与」があります。
これは、財産を贈る側と贈られる側の契約ですので、両者の事前合意が必要になるという点で遺贈とは異なります。
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それでは、自分の財産をどのように分配すれば良いでしょうか?
疎遠になった兄弟姉妹に財産をあげたくない場合
おひとり様が亡くなり、遺言書を書かない上法定相続人がいないと、その財産は最終的に国庫に帰属されます。
また、遺言書が無い場合、民法は第1順位が子供で、第2順位が両親、その次に兄弟姉妹が相続することになります。
反対に遺言書で指定する人に自身の財産を全て遺贈すれば、兄弟姉妹には相続財産が残りません。
増して遺留分がありませんから、自由に分配することができます。
親族以外では、自分が辛い時や苦しい時に支えになってくれた友人、また、自分が病気になった時に熱心に介護をしてくれたヘルパーさんなどに感謝の気持ちを込めて、自分の財産の一部遺贈される方もいます。
遺言が無い場合は、相続人以外で遺産を受け取れる人を特別縁故者といいますが、実務上、特別縁故者は裁判所がなかなか認めてくれませんし、財産全てが特別縁故者に渡ることも難しいです。
そして、特別縁故者も被相続人が死亡後、被相続人の関係者各自が「我こそは」の名乗り上げるので、必ずしもお一人さまが希望する人が名乗り上げるかは分かりません。
反対にそれまで疎遠だった人が、これ幸いに名乗り上げ「財産を取られる」可能性があります。
資産を持っている人が高齢で病気になったり、ひとり寂しくしていると、どこからともなく親切な人が近づいてくることがよくあります。
ですから元気なうちに身の回りの人々をできるだけ客観的に見つめて、冷静に判断をする必要があります。
一時の優しさや親切心は、あくまで一過性のものです。
特にこれまで疎遠だった人が急に近寄ってきたり、たまたま知り合った人が非常に親切な場合は注意が必要でしょう。
こう書くと虚しく感じますが、人はお金で人生が変わります。
昨今のニュースでも金銭絡みの事件が、如実に世相を表しています。
だからこそ、冷静な目で判断する必要があります。
もし、知人・知り合いに遺贈する人がいなければ、市町村や公共団体に寄付することもできます。
そうすることで、おひとり様の「名」を残すことができます。
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では、具体的にどう書くか考えてみましょう
遺言書を作成する前にすること
おひとり様で、自分には法定相続人がいないと思っても、詳しく調べてみたところ、相続人がいたということはよくあることです。
ですから、戸籍を取得して、ご自身で本当に相続人がいるか・いないかを確認する必要があります。
思い込みだけで、何もせず遺言書を作成しなかったら、財産はすべて国庫に帰属する可能性があります。
苦労して蓄えた財産を国庫に帰属させられ、何に利用されるか分からないなんて、虚しいことです。
それだったら、、生前お世話になった方々や慈善団体団体に寄付したりしたいと思われる方も多いのではないでしょうか。
そういった思いは、「遺言」により実現することができます。
注意が必要なのは、せっかく遺言書を書いても遺言の存在を誰も知らなければ、遺言の実行がなされることは難しいということです。
ですので、遺言書を作成した際、その思いを託し、自分が亡くなった後、確実に、自分の希望とおりに遺言を実行してくれる、信頼のおける方(遺言執行者)を、あらかじめ指定しておく必要があります。
遺言執行者は、遺言書で指定することができます。
身近な人がいない場合は、書類作成のプロである行政書士が遺言執行者になることができます。
遺言書の作成件数の多い当事務所では、遺言書の原案から作成・保管そして遺言執行まで全てご依頼して頂けます。
お世話になった人に遺贈したい場合
おひとり様とはいえ、人生全てを一人で終える人は少ないと思います。
加齢と共に体調も悪くなり、医者にかかったり、介護士やヘルパーに身の回りを介護してもらうことにもなります。
また、遠い親戚より身近な近所の人のお世話を受けることもあります。
親身に介護されることで、そのような人に自身の財産をあげたいと考えることがあり得ます。
そんなときは、遺言書で財産を遺贈をすれば、自由にあげることができます。
書き方としては、遺贈したい人の氏名・住所・生年月日等を書いて何をどの位遺贈させるか明記すれば良いです。
この場合も一時の感情で遺贈するのではなく、本心からその人に「遺贈させたい」という気持ちがなければ、後で後悔するかもしれません。
但し、遺言書は何回でも書き直しができますから、その際は書き直せば前の遺言書は無効になります。
死後、お墓やお葬式に希望がある場合
遺言書に自身のお葬式やお墓に関することを記載することは可能ですが、民法は遺言事項として、葬儀や墓については定めてはいない(法的効力はありません)ため、負担付遺贈の方法を用いない限り、法的な強制力はありません。
ですから、希望通りに実行をしてもらうためには、生前、身近な方に遺言書の存在場所を話しておくか、遺言書を預けるなどの必要性があります。
尚、当事務所では遺言書の作成・保管もしますので、安心してご依頼して頂けます。
また、封印された自筆証書遺言の場合、遺言者の死後、家庭裁判所で検認を受ける必要がありますが、公正証書遺言は死後検認を受けることなくスムーズに手続ができます。
そして、葬儀についての事項も生前、葬儀会社と契約されるなどの方法を取られていれば、死後、葬儀を実行する際のトラブルを軽減できます。
自分の死後にペットの世話を頼みたい場合
最近では、ペットを家族同様に扱い、暮らしのパートナーのように大切にされている方が多くいらっしゃいます。
ペットショップでは可愛らしい犬や猫がたくさん陳列されているので、ついつい購入してしまったりします。
おひとりで生活していると、その寂しさからペットを購入する方も多いです。
しかし、動物を飼うということは餌はもちろん、排泄処理や散歩もさせないといけないので、意外と面倒です。
さらに、最近の犬や猫は獣医学の発達や家の中で飼うことで13~15歳くらいまで生きます。
ですから高齢者が寂しいからとペットを飼うと、後で自分の行く末とペットの行く末の両方を心配することになります。
ペットは、法律上、「物」として扱われるため、おひとり様の死後、、世話をする方がいなければ最悪の場合、保健所などで処分される可能性があります。
そういったことを防ぐために、ペットの世話をしてくれる方を探し、その方に「ペットの世話をする」という義務を負担してもらう代わりに財産を遺贈(贈与)する、という方法が考えられます(負担付贈与)。
負担付贈与する場合、いくつかの注意点があります。
まず、その方からの事前の承諾を得ておくことが必要です。
負担付贈与は、遺言を執行する際、放棄ができるため、拒否されないように、あらかじめ承諾を得る必要があります。
次に、負担の範囲は遺贈された財産の範囲内に限られます。
ペットを世話する場合は餌代、また病気になれば治療代等様々な費用が発生しますから、わずかな財産を遺贈しても、それ以上の負担が増える可能性があれば、引き受けてくれる方を探すのも中々難しいかもしれません。
ですから、ペットを最後まで世話してくれる人を捜す必要がありますし、贈与もペットの世話を十分してもらうだけの金額を検討する必要があります。
最後に、遺言執行者をあらかじめ選んでおくことが必要です。
そうすれば遺言執行者は、ペットを預かった人がきちんと世話をしてくれているかを監督してくれますし、もし義務を怠ったときは相当な期間を定めて実行を促し、その期間内に実行されなければ、遺言の取消を家庭裁判所に請求する事ができます。
市町村や慈善団体等に寄付したい場合
自分の死後、財産を地域の自治体や慈善団体等に寄付をすることは、法律上、「遺贈」にあたります。
市町村や慈善団体等に寄付を行う場合は、遺言書にその団体等の名称、どのような財産を寄付するかを明記する必要があります。
また、慈善団体によっては、不動産ではなく現金や預貯金のみの寄付に限り受け付けているところもあるので、遺贈予定の慈善団体等に事前に確認された方が良いでしょう。
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