せっかく遺言書を書いて亡くなっても、自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合は被相続人が亡くなった家庭裁判所での「検認」が必要になります。
検認の件数は年々増加しており、平成元年は約5300件だったのが、平成18年には約13000件にも増加しています。
検認とは上記遺言書の証拠保全をすることであり、家庭裁判所で遺言書の存在と内容を認定することです。
だからと言って、裁判所が検認を受けた遺言書を法的に有効であることを認めるものではなく、検認とはあくまで、遺言書の存在、形式、形状、加除訂正の状態、日付、署名およびその内容を明確にして、後日の紛失や遺言書の偽造や変造を防止する為の手続です。
ですから自筆証書遺言や秘密証書遺言を発見した場合、相続人や利害関係人は遺言書を家庭裁判所へ検認を受ける手続を受ける手続をしなければなりません。
「遺言書の保管者は相続の開始を知った後、遅滞なくこれを家庭裁判所へ提出してその検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がいない場合において、相続人が遺言書を発見した後も同様とする」 (民法1004条)
公正証書遺言を作成した場合は検認の手続が不要ですから、遺言書が発見され次第すぐに相続手続きを開始できます。
このように、家庭裁判所での検認はあくまで遺言書を「保全」するだけですから、その遺言書に書かれている内容についての有効・無効に関与しません。
そして、封印のある遺言書は家庭裁判所に於いて相続人またはその代理人の立会の上、開封しなければなりません。
「封印」とは封筒の封にハンコが押されていることであり、遺言書が封筒に入っているものの、押印されていないものは封印ではありません。
検認を受けないで遺言書を執行したり、家庭裁判所以外で封印のある遺言書を開封した者は、5万円以下の過料(民法1005条)に処されますので、遺言書を発見したら注意する必要があります。
自分に不利に書かれている可能性がある遺言書を故意に破ったり、捨てたり、隠したりしたら相続人欠格者として相続権を失います。(民法891条)
また、相続人の中で遺言書に書かれている内容や筆跡について疑義がある場合、検認とは別に争う必要があります。
つまり遺言が有効になるには、作成時に意思能力と遺言能力があったことが要求されます。
意思能力 → 是非の判断ができる能力で10歳前後の精神能力
遺言能力 → 遺言を作成する理由やそれにより法的効果を理解できる能力
例えば遺言者が遺言書作成時に既に認知証になっており、そのことを相続人が立証できれば、たとえ遺言書があっても無効になります。
また、検認の申し立てで、自筆証書遺言としてパソコンで書いた遺言書は民法に定める方式に則っていないので無効となり、検認手続はできません。
検認手続の流れ
検認の申し立て
遺言者が亡くなった場所の家庭裁判所へ申し立て
↓
検認期日の通知
家庭裁判所から検認期日を相続人全員に通知
但し、立ち会う義務は無い
↓
検認の実施・通知
相続人立ち合いで検認を行い「検認調書」に記載される
立ち会わない相続人には「検認済通知書」として後日通知される
↓
遺言書の返却
検認終了後、申立人に遺言書を返却
検認の申し立てに必要な書類
1. 申立書
2. 遺言書
3. 遺言者が出生してから亡くなるまでの戸籍(各1通)
4. 立会人、相続人全員の戸籍謄本(各1通)
同じ書類は1通で足ります。
遺言者の子(及びその代襲者)で死亡している方がいる場合は、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
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