ようやく内容証明を書きあげて郵便局へ持って行き、内容証明郵便として相手方に送ったものの、全ての内容証明に効果が出るとは限りません。
普通郵便で送った場合は、いつ相手方に到達したか分かりませんし、そもそもその郵便が確実に届いたかどうかも分かりません。
ですから、相手方に確実に届いたという「証拠」の為に、内容証明郵便を送る場合は、配達記録付きの書留郵便で送ります。
これにより、相手方へ到着したかどうか、そして確実に受け取ったかは、確認できます。
この「到着したかどうか」と「確実に受け取ったか」ということが、内容証明では一番大事です。
もし、受け取らなければ、相手方はまだ、あなたの内容証明郵便を開封して内容を確認していないはずです。
たとえば、契約の解除や時効中断のための請求や債権譲渡の通知などは、その意思表示を書面で相手に届いたことを証明できないと困ります。
しかし、悪質業者などは内容証明郵便が届いているのを知っているのに、あえて受け取らない者がいます。
このようにせっかく内容証明郵便を出しても、相手に届かないことがあります。
① 留守で内容証明郵便を受け取れない場合
相手方が日中仕事等で不在のため、内容証明郵便を受け取れない。
郵便配達員の不在連絡届を郵便局へ持って行き、内容証明郵便を受け取れば問題ないですが、受け取りに行かない者もいます。
この場合、一定期間郵便局で保管されますが、保管期間が過ぎると差出人に返送されます。
すると、その内容証明郵便は、相手に届いたことになりません。
こうなるとせっかく内容証明郵便を送ったのに、その効力が出ません。
② 相手が受取り拒否する場合
内容証明郵便を出しても受け取らない者もいます。
普通の人は、内容証明郵便を受け取ることは、一生に一度あるか無いかでしょう。
しかし、世に中には、内容証明郵便を頻繁に受け取る者もいます。
悪徳業者などはその代表例でしょう。
こういった業者は内容証明郵便が送られてきても日常のことですから、動揺もしませんし、何ら感情も持ちません。
単に内容証明郵便を無視するだけです。
ですから配達員が内容証明郵便を持ってきても、受け取りを拒否します。
そうなるとその内容証明郵便は「名宛人が受け取りを拒否しました。」と書かれた付箋を付けて差出人に返送されます。
但し、この場合は確かに相手は内容証明の内容は見ていないものの、法的にはその通知は相手に到着したということになります。
内容証明の意思表示は相手に到着してから効力を発しますが、その場合の到着は相手が通知した内容を見たときではなく、相手がその通知を知りえる状態にあればよいとされていますから、受け取りの拒絶は、その通知を知ろうとすればできる状態ですから、その内容証明郵便は受取人に「到着」したといえます。
この受け取りは特定の者である必要はなく、会社であるならばその従業員であれば良いし、個人宅であれば本人でなくても同居している家族であれば良いです。
同様に受取りの拒否も本人が受けとらなくても、同居人が拒否すると、本人が拒否したことになります。
③ 居所が不明の場合
一番困るのが、相手の住所に届かないことです。
借金問題で夜逃げしたり、倒産した場合などは、たとえ内容証明郵便を出しても転居先不明で送り返されます。
少額請求なら諦めがつくかも知れませんが、高額の場合回収できないと自分自身に影響を及ぼすこともあります。
では、この場合泣き寝入りせずに、どうすれば請求できるのでしょうか?
こういう場合は「公示送達」(民法97条2項)をすれば良いです。
まず、相手が最後に居住していた簡易裁判所に、公示送達を申し立てます。
裁判所は公示送達に理由があれば、その内容を裁判所に一定期間提示すると共に、官報や新聞に少なくとも1回掲載します。但し裁判所が相当と認めるときは、官報や新聞に掲載する代わりに、市町村町役場の掲示場に掲示すればよいことになっています。
そして、官報や新聞、または市町村役場に掲示をして2週間経過したときに、その意思表示は相手がそれを見ていようが、見ていなくとも到達したものとみなされ、効果が生じます。
たとえ相手に内容証明郵便を出しても居所不明で返送されたり、居場所を捜して見つからない場合は、公示送達の方法を取るしか方法はありません。
しかし、その効果が生じても、相手が不明の場合は債権の回収は非常に難しいでしょう。
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