これまで相続税にかかる基礎控除額は、5000万円の定額部分と法定相続人一人当たり1000万円の加算額の合計で算出されていましたが、平成27年1月1日以降は相続税が大幅な改正され、遺産に係る基礎控除額は、 下記の通りになりました。
定額部分を3000万円として、相続人の加算額は一人600万円
即ち、相続にが3人だと、
3000万円+600万円×3人(相続人3人)=4800万円の基礎控除額となります。
この基礎控除額の縮小で困るのが、地価の高い都市部に住んでいる相続人です。
3000万円+相続人数×600万円では、そこそこの不動産があり、数千万円の遺産を残した場合、相続税が課税される可能性が高くなります。
2008年の相続税課税件数は死亡者数の4,2%でしたが、改正後は6%以上に増加されると試算されています。
当事務所でも遺産分割協議書の作成でたくさんのお客さんが来られますが、相続人が亡くなってしまってもそのまま遺産分割しないまま10年~20年と経ってしまい、いざ分割協議するにも相続人が個人では確定できない案件が増えています。
また、予想外の財産が見つかり、分割が困難になるケースも増加しています。
そして、死亡保険金の非課税制度もこれまで500万円に法定相続人の数を掛けた金額までは非課税でしたが、今後は法定相続人でも、未成年者・障害者・被相続人と生計を共にした人が対象になります。
都市部に住んでいて土地・家屋を所有している方や、概算で基礎控除を超える相続財産を所有している方は相続税ができるだけ掛からないように、生きているうちに節税対策が必要です。
ですから、
相続が始まったら、できるだけ早く手続が開始できるようにしましょう。
相続税とは、相続または遺贈により財産を取得するときに、一定額以上の財産を相続する遺族等に課せられる税金を言います。
しかし、相続財産を受ける全ての人に相続税が掛かるわけではなく、相続税には、基礎控除があります。
ですから、遺産の評価額から被相続人(亡くなった方)の借金や葬儀費用等を控除した課税価格の合計が、基礎控除の金額以下であれば相続税はかかりません。
しかし、平成27年1月1日から、基礎控除の引き下げや税率の変更などで、相続税対象者の大幅増加が予想されますので、早めの相続対策が必要です。
平成27年1月1日からは、
3,000万円 + 600万円 ×相続人の数 が、基礎控除になります。
改正前と平成27年1月1日以降の相続税率の改正は、下記のとおりです。
改正前(平成26年12月31日まで) |
| 改正後 (平成27年1月1日以降) | ||
税率 | ⇒ | 税率 | ||
1,000万円以下の金額 | 10% | 1,000万円以下の金額 | 10% | |
3,000万円以下の金額 | 15% | 3,000万円以下の金額 | 15% | |
5,000万円以下の金額 | 20% | 5,000万円以下の金額 | 20% | |
1億円以下の金額 | 30% | 1億円以下の金額 | 30% | |
3億円以下の金額 | 40% | 2億円以下の金額 | 40% | |
- | 3億円以下の金額 | 45% | ||
3億円超の金額 | 50% | 6億円以下の金額 | 50% | |
- | 6億円超の金額 | 55% |
死亡保険金について:
法定相続人が受け取った死亡保険金には、非課税控除の規定が設けられています。
非課税限度枠の規定は、法定相続人の今後の生活への配慮から設けられていますが、今後開始する相続では、非課税対象者は下記のとおりに変更されます。
改正前 | 改正後 | |
死亡保険金の非課税限度額 | 500万円に、法定相続人の数を乗じた金額 | 500万円に法定相続人のうち相続開始直前に被相続人と生計を一にしていた人・未成年者や障害者 |
これまでは、法定相続人である子供が4人いれば被相続人と別居していても、無条件で2,000万円の控除が出来ましたが、今後は3人の子供が結婚により別居していて、一人だけ被相続人と同居していたら、非課税の控除は500万円となります 。
被相続人(財産を与える人)が自分の子供達に税負担を少なくして、できるだけ多くの財産を与えようと考えているなら、生前贈与を考えることも一つに手段です。
例えば、1000万円を贈与した場合、基礎控除額を控除しても、231万円の税金がかかります。
この贈与税は、1月1日から12月31日迄に贈与(貰った)財産を合計して、年間110万円を超えた額に対して支払う税金です。
反対に110万円を超えない場合は、税金は支払う必要ありません。
これを「暦年課税」といいます。
110万円以下なら税金を支払わなくて良いと、「なかなか良い節税法」と考えられますが、いくつかの注意点があります。
まず第一に、
贈与額を増やすには時間がかかるということです。
「暦年贈与」ですから、一度に多額財産を贈与できないことです。
税金を払わないで済もうと考えたら、110万円を超えることはできません。
ですから、1100万円を贈与しようとすると、最低10年はかかります。
被相続人がまだ50~60歳程度で、健康に問題なければ十分可能ですが、80歳前後の年齢ではあまりメリットが無いかも知れません、。
被相続人が高齢者で、できるだけ早く財産分配したいのなら、「相続時清算課税制度」を利用するのも一つの手段になります。
遺贈とは、遺言などで相続財産の全部または一部を、知人や生前に世話になった人など、第三者にあげることですが、遺贈でもらった財産には税金が課される可能性があります。
遺言で財産がもらえるのは、相続人だけとは限りません。
反対に、相続人でありながら、遺言によって遺産を貰えないケースもあります。
遺贈によって多額の財産を受け取ると、相続税が掛かる場合がありますから、注意が必要です。
相続人ではない第三者が遺言などによる遺贈で財産を受け取った場合は、「相続税」が適用されます。
よく贈与と遺贈を混同する方がいますが、「贈与」とは、被相続人がまだ亡くなっていない時(生きている時)にあげた財産をいいます。
そして、110万円以上贈与されたら、贈与税が掛かります。
勿論、贈与税は自分の子や孫、また第三者に贈与した場合に掛かります。
同じように、たとえ相続人でない第三者であっても、遺贈を受けると相続税が適用されます。
要するに、亡くなった人からもらった財産(相続・遺贈)は、誰であろうがすべて「相続税」が適用されます。
第三者が被相続人から遺贈を受けると、相続税は被相続人の配偶者と一親等の血族(子、代襲相続の孫や親)以外の人が納税するときは、2割加算されます。
ですから、法定相続人と関係ない第三者が遺贈によってもらった相続財産について相続税の申告をする場合は、相続税の納税額に2割加算されることになります。
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