クーリングオフとは、消費者が一度契約したものの、頭を冷やして冷静に考え直す時間を与え、一定期間なら無条件で契約を解除できる制度のことです。
通常なら一度契約が成立すると、契約したもの同士がその契約履行することが原則ですが、クーリングオフはいくつかの法律によって定められています。
クーリングオフできる取引は下記の通りです。
① 訪問販売
② 電話勧誘販売
③ 特定継続的役務提供
④ 業務提供誘引販売取引
⑤ 連鎖販売取引
⑥ 訪問購入
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クーリングオフは法律でクーリングオフが適応される契約に限り、消費者が一方的に申し込みの撤回や、契約の解除ができる制度のことです。
たとえば、、ある商品を購入したり、サービスを受ける契約をしたものの、よく考えたら 「やっぱり必要ない。」という場合や、個人的な理由で後日契約を解除したい場合などに適応されます。
すなわち、クーリングオフとは、消費者に一定期間「頭を冷やして考える時間」を与えた権利です。
クーリングオフの起算日は、契約の内容を明らかにした書面を交付した日から始まります。
ですから書類を受け取っていない場合は、契約書の内容を知ることができないので、クーリングオフの期間は進行しないと解されます。
反対に一日でもクーリングオフの期間を過ぎてしまうと、契約の解除ができなくなります。
消費者は熟慮期間内によく考えて契約するか、または拒否するか、決断する必要があります。
ただし、クーリングオフの期間を過ぎても民法、消費者契約法などにより、契約を解除できる可能性があります。
また、個別案件により契約状況が違いますので、詳しくは当事務所へご相談ください。
クーリングオフできる期間
取引内容 | 期間 |
訪問販売 | 8日 |
割賦販売(クレジット販売) | 8日 |
電話勧誘販売 | 8日 |
宅地建物販売 | 8日 |
特定継続的役務取引 | 8日 |
生命・損害保険契約(1年以上) | 8日 |
ゴルフ場会員契約 | 8日 |
投資顧問契約 | 10日 |
現物まがい商法 | 14日 |
海外先物取引 | 14日 |
業務提携誘引販売(内職、モニター商法) | 20日 |
連鎖販売取引 | 20日 |
尚、起算日は契約の日から数えるのではなく、クーリングオフができることを書面で交付した日、または告知日からカウントされます。
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クーリングオフできる取引は、以下の取引です。
訪問販売
セールスマンが一般家庭などに出向いて商品を販売する取引で、新聞の購読から化粧品、住宅設備・リフォーム・シロアリ駆除や、宝飾品など、比較的高額な商品の販売が多いです。
このときセールスマンと消費者が一対一で話し合うことになるので、契約を得るために商品の価値を大げさに表現したり、嘘を語ったりして契約を取ったり、嘘がなくてもセールストークに乗せられ、不必要な商品や、通常より高額な価格で契約するケースがあります。
その為、原則契約書を受け取ってから8日以内であれば、無条件でクーリングオフが適用されます。
電話勧誘
事業者が消費者に電話をかけて勧誘を行い、その電話の中で消費者からの申込み(または契約の締結)を受けた場合だけでなく、電話をいったん切った後に消費者が郵便、電話等によって申込みした場合でも、電話勧誘によって消費者の購入意思の決定が行われた場合には、「電話勧誘販売」に該当しますので、契約書を受け取ってから8日以内であれば、無条件でクーリングオフできます。
また、事業者が欺瞞的な方法(騙す方法)で、消費者に電話をかけさせて勧誘した場合も該当します。
特定継続的役務提供
美容エステや語学教室は、短期間に効果が出るとは限りません。
また、金額も高額になるので、やはり自分には合わないと考えることがあります。
そこで、特定商取引に関する法律 第48条により、下記のサービスについては契約書面受領後8日以内であれば無条件でクーリングオフできます。
特定継続的役務 | 期間 | 金額 |
---|---|---|
エステティックサロン | 1カ月を超えるもの | いずれも5万円を超えるもの |
語学教室 | 2カ月を超えるもの | |
家庭教師(通信指導等含む) | 2カ月を超えるもの | |
学習塾 | 2カ月を超えるもの | |
パソコン教室 | 2カ月を超えるもの | |
結婚相手紹介サービス | 2カ月を超えるもの |
業務提供誘引販売取引
業務提供誘引販売取引とは、「特定商取引に関する法律」第58条で定義される、以下のような条件を全て満たす取引で、契約書を受け取ってから20日以内であれば、クーリングオフできます。
① 業者が販売する広義の商品又は提供する役務を利用する業務により、顧客に対して利益(業務提供利益)が得られるとして誘引・勧誘する。但し、この業務は業者が自ら提供する業務、又は業者が斡旋した業務に限られます。
② 契約者に金銭的負担(特定負担)がある。
③ 広義の商品の販売もしくはその斡旋、または役務もしくはその斡旋に係る取引
「広義の取引」とは、物品の他、施設利用権、役務の提供を受ける権利もいいます。
例)
① 民間資格講座を受講して資格を取得すれば、業者がその資格に該当する業務を斡旋する。
② 業者から美容機器を購入してモニター会員になり、同機器に関するアンケートを回答すると、モニター料が支払われる。
③ 名簿を購入して、ダイレクトメール(DM)の宛名記入し、DMから商品を購入すると業者から手数料が支払われる。
連鎖販売取引(マルチ商法)
連鎖販売取引とは、特定商取引法第33条で定義される販売形態のことで、以下のような条件を全て満たす販売取引が連鎖販売取引とされます。
物品の販売(または役務の提供等)の事業であって、
再販売、受託販売もしくは販売の斡旋(または役務の提供もしくはその斡旋)をする者を、特定利益(紹介料や販売マージン、ボーナス等)が得られると誘引し、特定負担(入会金、商品購入費、研修費等の名目で、何らかの金銭的な負担)を伴う取引をするものをいいます。
商品流通においては代理店、問屋という形をとる場合のような広告して、商品を在庫するというそれぞれの役割が分離されているものと異なり、それぞれのポジションがまったく同じ、または商品の広告と販売と同じポジションになるべく人を勧誘することができることで、多段階式に連鎖していくことから名づけられます。
また、ピラミッド型の組織となり、ピラミッドの頂点の上位から裾野が広がるディストリビュータ(販売員、販売代理店、販社)組織が形成されていくシステムで、全ての人が連鎖販売企業とつながっており、情報の取得や商品の購入が出来るシステムです。
別途法律で禁止されているねずみ講と似ているところがあるので、慎重に契約する必要があります。
契約書面受領日から20日間ならクーリングオフできますが、商品再販売の場合は、契約書面受領日か、最初の商品受領日の遅い方から20日間となります。
訪問購入
訪問購入とは最近増加している、「押し買い」と言われる悪質商法の一つです。
訪問販売の逆で、購入業者が消費者宅へ押しかけて上がり、消費者の宝石や骨董品などを強引に買い取る商法です。
ドアを開けたら業者がいきなり玄関に入り、断っても相場より低い金額のお金を置いて強引に商品を持って行きます。
特に貴金属や宝飾品などの被害が多くなっています。業者は安く買って、高く売ることを目的としています。
買い取って行った業者の住所や連絡先などがわからず、トラブルに発展するケースが増えています。
訪問購入も特定商取引により規制されていますので、契約書を受け取ってから8日間はクーリングオフ可能です。
クーリングオフ制度を利用し、クーリングオフした場合の消費者は、違約金や損害賠償などを一切支払う必要はありません。
購入した業者は商品を返還し、消費者は受け取った代金を返金しなければなりません。その代金を返金する費用(振込手数料など)は相手の業者負担となります。
因みに、訪問購入の規制の対象にならないものは以下のものです。
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① 契約の意思をもって営業所へ行き、そこで契約した場合
② 3,000円未満の商品を受け取り、同時に代金を支払った場合
③ 事業者間の契約(たとえ個人事業主であっても事業者として契約した場合)は、クーリングオフできません
上記のような状況でも法的解釈により、解約・救済できる場合があります。
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人はどこで甘言を受け、その被害者になるか分かりません。
また、当初は必要と思って契約したものの、家に帰ってよく考えたら不必要だったということもあります。
今回は一旦は契約したものの必要なかった場合や、甘い言葉に騙されて契約した事例とその対処法をお教えします。
絵画・版画等の勧誘例
たまたま繁華街や駅前の路上を歩いてたときに綺麗なお姉さんやイケメンに声をかけられた流れで、高額な絵画・シルクスクリーン・版画等を買ってしまったという事例があります。
また、一度購入してしまうと購入履歴が残り、その後も頻繁に勧誘され、複数のクレジットのローン契約をして、支払いが困難になってしまったという例もあります。
絵画はローン契約では、月々の支払いが少ないので安易に契約する方が多いですが、トータルでは高額になる契約が殆どですから、本当に欲しいものを十分に検討して契約する必要があります。
「将来必ず値上がりします。」といった断定的判断の提供や、契約させる為に長時間にも及ぶ執拗な勧誘を受けるような契約には、特に注意が必要です。
キャッチセールスやアポイントメントセールスで購入した場合は、展示会や画廊、お店での契約でも法律上では訪問販売に該当し、契約書受領日を含め8日間が無条件で解約できる期間となります。
商品を購入する意思がないのに、長時間の説明を受けた為に、しょうがなく契約してしまったり、大勢の販売員に囲まれたり、大幅な値引きや断れない状況になってしまい契約したなど、契約者にとって不本意な契約であったり、冷静に考えた結果、必要ないと判断した場合は、クーリングオフ期間内に通知すると、無条件で解約できます。
絵画や版画の契約は、その場で商品を渡されず、後日、自宅へ発送されることが多いので、注意が必要です。
クーリングオフは商品到達後ではなく契約書受領日から8日間に行う必要がありますから、経過後に商品が届いて気に入らない場合でも、クーリングオフができません。
特別価格ということで購入したものの、ネットで値段を調べてみたら明らかに高い値段で買ってしまったという事案が、最近増えています。
この場合もクーリングオフ期間内であれば解約できますが、期間が過ぎてしまうと値段が高いと言う理由だけでは解約は難しいので、注意が必要です。
名簿の送り付け
同窓会名簿や会員名簿を、突然送ってくる業者もいます。
この場合は、口頭でも、文書でも本人が申込みしていない限り、購入契約は成立していませんから、代金の支払義務はありません。
こういった名簿は、訪問販売法18条の「売買契約に基づかないで送付された商品」に該当(ネガティブ・オプション)します。
受け取った側は14日間名簿を保管して、その間に業者側が引き取らなければ、それ以降は自由に処分できます。
また、業者に引き取りをするように請求した場合は、請求の日から7日間で、良いです。
業者の中には、「発送後1週間以内に返送されないときは、購入したものとみなす。」と、いった文書を請求書に添付しているケースがありますが、そのような場合も、同様です。
但し、業者の請求に根負けして、一旦支払ってしまうと取り戻すことは難しいので、購入する意思が無い場合は、毅然として対応する必要があります。
デート商法とは?
デート商法とは、知り合った異性がいかにも、あなたに好意があるような振る舞いをし、販売目的を隠してデートの約束をし、その好意を利用して商品を販売する商法です。
そのようにして買った場合は、相手が抱いた好意を利用してクーリングオフ期間である8日間は恋人のように連絡がありますが、クーリングオフ期間が過ぎてしまうとパッタリ連絡がなくなり、クーリングオフができなくなってしまう、というケースです。
また、出会い系サイトで知り合った異性が実は販売員だったというケースや、電話がきっかけでメールをやり取りするようになり、実際に会ったところ販売員だったというケースもあります。
デート商法で取り扱いの多い商品として、指輪、ネックレス、ペンダント等のアクセサリーや宝石類、毛皮のコート、高級腕時計、絵画などの高額商品が目立ちます。
不用意に相手に連絡をするとクーリングオフ行使を引き留められたりしますので、電話をしたり、会ったりしないことが必要です。
クーリングオフが過ぎてしまった場合でも、勧誘時やクーリングオフ期間中に違反行為があったなどの理由があるときは、そのことを理由に相手側と交渉し、解約できる場合があります。
また、デート商法などの勧誘時に問題がある場合、契約時に販売員の勧誘や説明に問題がなかった旨を証明する確認書や、アンケートを記入させることがあります。
実際は勧誘等の違反行為があったにもかかわらず、違反行為が無かったような記載をしてしまうと、それら違反行為を理由に解約交渉しても不利になってしまいますので、注意が必要です。
エコ関連詐欺
太陽光発電装置(ソーラーシステム)とは、 太陽電池を利用して太陽の光エネルギーを直接、電力に変換する発電方式 やエコキュート ヒートポンプ技術を利用して空気の熱で湯を沸かすことができる電気給湯機や、オール電化システム 家庭の場合で、家庭内のエネルギーを電力でまかなうシステムです。
勧誘の多い取引として、訪問販売(商品売買契約・設置工事・モニター契約)です。
昨今、太陽光発電は環境に優しいクリーンなエネルギーとして、また、エコキュートは深夜電力を利用した場合に、給湯にかかる光熱費を抑えることができ、経済的にも良いと注目されています。
ただ、訪問販売のような不意打ち的な取引には、注意が必要です。
業者のセールストークで多いのが、「今キャンペーン中であと1件です。」や「本日まで契約しないと安く買えません。」などです。
太陽光発電装置は高額な契約になりますから、購入を検討しているのなら何件か見積もりを出してもらい、比較・検討された方が良いです。
また、よくある勧誘として、「設置場所の宣伝になりますので是非、モニターになってください。」や「ローンの支払いは光熱費の節約分で払えますよ。」等の甘言で購入するケースが見受けられます。
勧誘を受けたときの説明と実際に商品を使用した際の状況に相違のないよう、契約前の段階で気をつける必要があります。
クーリングオフするには、契約書受領日を含め8日間です。
但し、自分からお店に行き、商品を選んで購入した場合は、法律上のクーリングオフ制度の対象にはなりません。
クーリングオフは、書面で通知することにより契約を一方的に解除できますが、契約金額が数十万から数百万と高額ですので、万一のトラブルに備え、内容証明郵便(配達証明付)などの確実に解約した証拠の残る書面で通知したほうが良いです。
また、ローンやショッピングクレジットを同時に申し込んだ場合は、信販会社への通知も念のためにしておきましょう。
浄水器・活水器・整水器のクーリングオフ
訪問販売で浄水器を購入した場合も、クーリングオフ制度の適用があります。
商品に問題があるというよりも、販売方法に問題があります。
具体例として以下の販売・取引に当てはまる場合は、クーリングオフをすることにより無条件で解約することができます。
① 訪問販売や電話勧誘により浄水器を買ったケース
訪問勧誘を受けて浄水器を買った場合は、契約書面を受け取った日から8日以内であれば、クーリングオフすることができます。
古典的な例として、「水道局からきました。」という文言を使う悪質業者が、いまだにいます。
また、良くある口上が、「今、このあたりの水質調査をしています。近所の方にも協力していただいております。」と言って家の中に入ってきたり、 アパートやマンションに引越してきた際に「管理人に頼まれて来ました。」などと言い、浄水器や活水器などを購入させる手口が見受けられます。
水に関するアンケートに答えたあと、お礼と称して蛇口に取り付ける簡易型の浄水器を無料でプレゼントするということで後日、業者が持ってきた高額な浄水器の勧誘をされた事例もあります。
訪問販売では必ず、販売目的、業者名、氏名などを最初に告げなければなりません。
② 商品について説明をして、頼んでもいないのに勝手に設置されたケース
その際に「既に設置してしまったのでクーリングオフできません。」や「取付料を支払ってください。」などのクーリングオフ妨害行為もあるようですが、浄水器や活水器を設置した後でもクーリングオフをすることが出来ますし、販売業者の負担で取り外すことが出来ます。
更に、「今なら半額で買えて、取付料、メンテナンス料も無料です。」などと言い、実際に商品を購入してみると「契約時に交わした内容と違っていた。」と、いうことが無いように、慎重に購入する必要があります。
こういったケースでも、クーリングオフの対象となります。
③ 浄水器や活水器のレンタル契約したケース
この場合も、クーリングオフの対象となります。
浄水器や活水器の場合、契約してすぐに設置することが多いですが、そのような場合でもクーリングオフをしたら取付料や違約金を支払う必要はありません。
元に戻してもらうよう、原状回復請求をすることができます。
業者と顔を合わせたくないのでしたら、書面に返送する旨を記載して着払いで送ることも可能です。
マルチ商法(連鎖販売取引)で浄水器や湯沸かし器や、健康器具等の再販売や、自分のために商品購入契約しても、クーリングオフの対象(期間20日間)となります。
訪問販売、電話勧誘販売などで浄水器や活水器などを買い、クーリングオフ期間が過ぎてしまっても勧誘時に問題があったり、契約書面に重大な不備がある場合などは、過ぎた後でも、解約できる場合があります。
エステ被害例とクーリングオフ
エステ契約に至るまでの経緯として、キャッチセールスで声をかけられ、「アンケート」や「肌のチェック」と説明を受けてお店に行ったところ、勧誘を受けてしまい、契約してしまったというケースがあります。
エステに限らず、関連する商品として美顔器や脱毛器などの美容機器、サプリメントや化粧品などの勧誘も多いです。
エステ業者の勧誘方法に問題があったり、最初のうちは親切・丁寧な対応だったのに、何回か通うと新規顧客を優先して、ないがしろにされるなどトラブルが多いようです。
また、エステ(痩身・脱毛・美容等)の場合、上記のような勧誘方法で契約した以外にも、クーポンやキャンペーンを利用する目的で自らの意思でお店に行って契約したときも、要件を満たせばクーリングオフを行使することができます。
クーリングオフによる解約は、エステ業者から契約書面を受け取った日から8日間となっています。
因って、エステ業者から契約内容の書面の交付を受けてから8日以内であれば、解約理由は必要なく、無条件でクーリングオフをすることができます。
契約書交付日がクーリングオフの起算日となりますので、重要です。
しかし、8日間を過ぎてしまった場合でも契約期間が1ヶ月を超え、契約金額が5万円を超える契約であれば中途解約が認められます。
ただし、その場合もやめたい理由など必要なく解約できますが、解約料を支払わなければなりませんので、8日以内の方は必ずクーリングオフ通知をしてください。
クーリングオフが適用されるケースとして、以下の状況が考えられます。
① 特定継続的役務(1ヶ月を超える契約期間で、5万円を超える契約金額)
② キャッチセールスなどの不意打ち的な契約
③ 契約書にクーリングオフできる内容の記載がある場合
上記いづれかに当てはまればクーリングオフを行使できますが、ここでは長期の高額契約である、特定継続的役務(とくていけいぞくてきえきむ)について説明します。
特定継続的役務とは、長期間継続して利用しても個人差などにより、必ずしも効果が出るとは限らないサービスを法で定めたものです。
エステ 特定継続的役務の要件
役務名称 エステティックサロン(美顔、痩身、脱毛などが該当し、植毛、増毛は該当しません)
契約期間 1ヶ月を超える期間
契約書には、「サービス期間」、「契約期間」、「有効期限」、「役務提供期間」などが記載されています。
チケット制や会員権制の期間について有効期限のあるものについては、有効期限内はいつでもサービスを受けることが可能であることから、その有効期限をもってサービス提供期間とみなします。
有効期限のないものについては、いつでも使用可能なので常に基準期間以上であるとみなされます。
契約金額 5万円を超える金額
エステの施術料のみではなく、入会金、サプリメント、化粧品などの関連商品もあれば、その金額も含んだ額です。
エステのクーリングオフ・中途解約
期間内に書面で通知
クーリングオフ期間は、契約書面を交付された日を含め8日間です。
例えば、月曜日に契約した場合は、翌週の月曜日が最終期限日になります。
中途解約期間はクーリングオフ期間が過ぎた日から契約期間が終了するまでであれば、いつでも申し出ることができます。
クーリングオフも中途解約も、解約理由は必要ありません。
クーリングオフは、違約金を支払う必要はありませんが、中途解約は解約料が必要です。
クーリングオフや中途解約の際に、下記に列記したエステ関連商品も契約したときは、同時に解約できます。
ただし、自分の意思で消耗品を使用してしまうと、その使った商品は返品できなくなります。
また、法律上ではエステ契約は残しておきたい場合でも、関連商品のみの解約はできません。
エステの関連商品
① 健康食品(サプリメントなど。医薬品を除く)
② 化粧品、石けん(医薬品を除く)、浴用剤等
③ 下着類
④ 美顔器、脱毛器等の器具
エステ契約解除がサービス開始前(クーリングオフ期間は経過したが、まだエステサービスを受けていない)の場合
① 通常必要とする費用の額(初期費用)2万円
エステ契約解除がサービス開始後(すでに何回かエステサービスを受けている場合)の場合
① 初期費用の具体的な内容が明示されていたら、その初期費用
② 既にエステサービスを受けた分の費用
③ 2万円又は、契約残金(エステサービス総額-既に受けた金額)の10%いずれか低い額
①+②+③の金額
関連商品の解約料
健康食品(医薬品を除く)、 化粧品、石けん(医薬品を除く)、下着類、脱毛器・美顔器等の機器
関連商品を返還しない場合 は、関連商品の販売価格に相当する額
引き渡されていない場合は、契約の締結及び履行のために通常要する費用の額
返還した場合の1.又は2.の、どちらか高い額
1. 関連商品の通常の使用料に相当する額
2. 関連商品の販売価格に相当する額から、その関連商品の返還されたときにおける価格を引いた額
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普段から「悪徳商法」や「オレオレ詐欺」などに引っかからないように用心している人でも、詐欺師は如何にだまして詐取できるよう、虎視眈々とチャンスを狙っています。
そういった中で、ネガティブオプション(送りつけ商法)といった、人の善意を逆手に取った悪徳商法が存在します。
一般的に契約とは「売り手」と「買い手」の、双方の合意があって成立しますが、ネガティブオプションは、売り手である業者が勝手(一方的)に商品を送りつけ、商品代金を請求します。
送られてきた善意の人は、勝手に送られてきたにも関わらず、その商品を購入しなければならないと錯誤して、代金を指定されたところに払い込みます。
送ってくる商品も名簿や写真集、家庭用品などが多く、送られてきても使用価値の無いものがほとんどです。
しかし、先ほど書いたように契約とはお互いの合意の上で成立するので、買い手側が契約する意思を伝えるか、購入するつもりで代金を払わない限り、契約は成立しません。
ですから、契約が成立していない以上、たとえ送られてきても、代金を支払う必要もありません。
では、勝手に送られてきた商品は、誰のものになるのでしょうか?
答えはもちろん、業者のものになります。
でも勝手に送ってきて商品は業者のものでは、受け取った側はいい迷惑です。
ただこの場合は、積極的に自分から商品を業者に返還する義務はありません。
これまでの法律(特定商取引法)では売買契約に基づかず一方的に商品を送りつけられた場合で、消費者が契約の申し込みを承諾せず、業者も商品を引き取りに来ないときは、商品の送付があった日から14日間経過したときに、業者は商品の返還を求めることができないとされていましたが、法改正されて令和3年(2021年)7月6日以降は、送り付け商法により送付された「自分宛てだが身に覚えが無い商品が届いた場合」は、その場で即処分して良いことになりました。
自分の物ではないから送り返さないといけないと思いがちですが、業者が勝手に送ってきた物であるなら、返品せずに処分しても構いません。
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たとえクーリングオフできない場合でも、救済法や法的解釈により解約できる場合があります。
特定継続的役務提供契約による解約
語学学校、エステ、学習塾、家庭教師など長期間にわたるサービス(特定継続的役務提供契約)は、クーリングオフ期間経過後であっても、一定の解約手数料を支払うことで中途解約できます。
契約の取り消し
不実の告知(消費者契約法4条1項1号)
重要な事項について事実と異なる説明されたために、誤認して契約した場合
断定的判断の提供(消費者契約法4条1項2号)
契約前に「絶対に儲かる」などと断定的に説明されたため、誤認して契約をした場合
不利益事実の不告知(消費者契約法4条2項)
契約に都合に良いことばかりのみ説明され、反対に不利益になる説明を受けなかったため、誤認して契約をした場合
不退去(消費者契約法4条3項1号)
業者に「帰ってほしい。」と要求したにも関わらず、退去しなかったために契約をした場合。
監禁=退去妨害(消費者契約法4条3項2号)
業者に「帰りたい。」と要求しても、その場所から出してもらえず、やむを得ず契約をした場合
詐欺(民法96条)
業者にだまされて、契約した場合
脅迫(民法96条)
業者に脅されて、契約をした場合
未成年者による取り消し
親(法定代理人)の同意を得ずに、未成年が契約した場合
契約の無効
消費者契約法による契約の一部無効
1.消費者の利益を一方的に害する契約(消費者契約法10条)
2.事業者の損害賠償責任を免除する条項 (消費者契約法8条)
3.消費者が負担する損害賠償の違約金や予約を定める条項(消費者契約法9条)
公序良俗違反(民法90条)
契約内容に社会通念に照らして、不当な場合
錯誤(民法95条)
契約内容を「勘違い」よって契約した場合
ただし、ちょっと注意していれば「勘違い」を防げた場合は無効になりません
契約の解除
合意による解約
業者間で合意できれば、契約の解除ができます
債務不履行による契約の解除
業者が契約内容どおりに約束を履行しない場合は契約解除できます
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