いざ遺言書を書こうと思っても、何でもかんでも書いても法的に有効になるわけではありません。
法的に有効な事項を書かないと遺言書は単なる手紙になる可能性があります。
しかし、たとえば自分の遺体を医学教育の為の献体に利用してもらいたい場合や妻を大事にして、子供達が仲良く するといった願望は法的効力はありませんが、本人の希望を伝えるものとしては意味があります。
遺言できること(遺言事項)は下記の通りです。
相続および財産処分に関すること
1. 相続分の指定およびその委託
2. 遺産分割の方法の指定およびその委託
3. 遺産分割の禁止 (死後5年間は遺産分割を禁止できる)
4. 相続人の廃除または排除の取消
5. 特別受益の持ち戻しの免除
6. 遺贈
7. 遺贈減殺方法の指定(遺留分を侵害する遺贈が複数ある場合に、減殺の順序や割合などを指定できる)
8. 寄付行為
9. 信託の設定(信託銀行などに財産を信託する旨の意思表示できる)
10. 共同相続人の間の担保責任の指定(ある相続人が取得した財産に欠陥があった場合に他の共同相続人はその損失を相続分の割合で分担しなければならないという、民法の規定を変更できる)
身分に関すること
1. 子の認知
2. 未成年後見人の指定および未成年後見監督人の指定(自分の死亡により親権者がいなくなる未成年の子について後見人および監督人を指定できる)
その他
1. 遺言執行者の指定およびその委託(遺言の内容を確実に実行してもらうための遺言執行者を指定できる)
2. 祭祀承継者の指定
遺言書を残すということは、遺言者からの一方的な行為ですから、法的な拘束力を持たないものもあります。
① 結婚・離婚に関すること
結婚や離婚は当事者の合意に基づいて行うことですから、遺言によって書き換えられることはありません。
遺言書に「妻と離婚して相続権を与えたくない」と書き記してあっても、法的には無効です。
② 養子縁組に関すること
養子縁組に関しても死亡後、遺言書によって書き換えられることは法的に無効となります。
養子縁組をしていなかったために、わが子同様に育ててきた子供に相続権が与えられない例があります。
そうならないためにも生前に養子縁組を執り行っておくことをおすすめします。
養子縁組ができなかった場合、遺言書に遺贈のかたちで財産を与えることができます。
また養子縁組の解消についても遺言書では効力を持ちません。
③ 借金債務の分割指示や遺体解剖や臓器移植に関すること
これらも、遺言書では法的に拘束力を持ちません。
遺言は、身分に関するものと財産に関するものに限られ、遺族の婚姻や養子縁組、遺産の売買に関することを遺言に記載しても、その遺言は拘束力を持ちません。
また、夫婦連名の遺言など、複数の人が共同で同一の遺言書を遺すことはできませんのでご注意ください。
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