財産分与は夫婦が結婚中に築いてきた財産を、離婚の際にそれぞれの寄与分を計算して清算することをいいます。
慰謝料とは、たとえば夫が浮気をして妻が精神的ショックを受けた場合に、その精神的損害を賠償する意味で支払われるお金のことです。
財産分与も慰謝料もいつでも相手に請求できるものではなく、それぞれに時効がありますから、請求するなら時効前に裁判所に訴えなければなりません。
財産分与の申し立て → 離婚届が受理された日から2年以内
慰謝料請求 → 相手方の不倫は加害者を知ったときから3年以内
有責行為により離婚した場合は成立した日から3年以内
財産分与は家庭裁判所に申し、慰謝料は地方裁判所に訴えますが、実務では、まず家庭裁判所での調停を申し立てます。
離婚による慰謝料とは、一般的に精神的苦痛に対する損害賠償のことをいいます。
離婚の際に男性(または女性)が女性(又は男性)に対して支払うもののように思われがちですが、慰謝料請求というのは、精神的苦痛を受けたことに対する損害賠償の請求という意味です。
ですから、損害賠償をしなければならないような精神的苦痛を与えた有責配偶者が、もう一方の配偶者に支払うものです。
よって、離婚の際に、請求できる権利ではありませんし、女性(又は男性)が必ず請求できるものでもありません。
離婚に至る理由が夫婦のどちらかにある場合は、相手方に慰謝料請求できます。
慰謝料請求が認められるケースとして、
① 配偶者の浮気(不倫)
② 配偶者の暴力(いわゆるドメスティク バイオレンス=DV)
③ 生活費を家庭に入れてくれない
④ アルコール依存症
⑤ 配偶者による、一方的な離婚宣言
また、慰謝料が認められないケースとしては、
① 互いの性格が合わない(性格の不一致)
② 離婚原因がお互いにある場合
③ 思想・宗教感の違い
などです。
財産分与とは、夫婦が結婚している間に二人で築いてきた財産について、離婚の際に夫婦それぞれがどれだけ寄与したかを、お金に換算して分配することです。
ですから築いた財産が多ければ多いほど、財産分与は高額になります。
また、財産分与は下記の3つに分けられます。
1. 清算的財産分与(結婚中に協力して築き上げた共有財産)
2. 扶養的財産分与(離婚後の配偶者の生活を支える)
3. 慰謝料的財産分与(浮気の慰謝料)
話し合いではまとまらず、家庭裁判所で財産分与の取り決めがなされたときで支払額が一番多いのが100万円前後で、続いて200万円以上400万円以下のケースが多いです。
もちろん結婚期間が長ければ財産分与も高額になりますが、婚姻期間25年以上の場合でも600万円以上1,000万円以下が一番多いです。
では、慰謝料はいくらになるかというと、平成13年のデーターでは不倫で300万~1,500万円、虐待で200万~500万円といった例があります。
このように財産分与も慰謝料も全ての人がたくさんお金がもらえるわけではないので、離婚を考えている方は将来の生活も考えて慎重にしなければなりません。
いざ離婚をを決意しても無計画に離婚すると、将来の生活に支障が出ます。
特に子供が未成年の場合、予想以上に教育費や食費等に経費がかかり、生活の負担になります。
そこで、離婚を考えているのなら、相手と離婚話をする前に、準備をする必要があります。
離婚すると、どうしても経済的な問題が出てくるので、家庭内の経済状況を調べ、証拠を把握することです。
役に立つ証拠は、以下の通りです。
1. 給与明細、源泉徴収票、預金通帳など毎月の収入が分かるもの
2. 不動産を所有しているのなら、登記事項証明書や権利証
3. 結婚中に購入した、株の明細書や貴金属等高価な物の領収書
4. その他、財産的価値のあるものの評価表や領収書
5. 家計簿(子供の養育費や生活費が把握できる)
6. メモ帳・手帳
これらの証拠はたとえ原本がなくても、コピーでもかまいません。
但し、相手のメモ帳や手帳、携帯電話のメールや着信履歴は相手の承諾がないと、倫理に反することなので賛成できませんが、自分自身で相手の不倫行為をメモ書きしたりするのは、後で役に立ちます。
配偶者と離婚について話し合いをして、お互いが離婚に同意して慰謝料や財産分与、子供の養育費が決まり、相手方が忠実に実行してくれれば、何ら問題ありませんが、余程の資産家か高収入がある人以外は、簡単に履行できません。
自分達で作成した私文書として「離婚協議書」を作成した場合はどうでしょう?
二人で合意した内容を明記するので口約束よりは有効ですが、記載内容を履行してくれなければ裁判所で争うことになります。
支払ってくれないからと、相手方の家に行って、無理やり金品を取る自力救済はできません。
私文書の契約書を作ったとしても、その内容を守らない場合は、裁判所の確定判決を受けないと、強制的にお金を回収することはできません。
では、どのような方法で契約書を作れば、離婚後の取り決めを有効に履行させることができるでしょうか?
それは、公正証書による離婚協議書を作ることです。
公正証書の離婚協議書を作成すれば、以下のようなメリットがあります。
① 離婚後に慰謝料や養育費を支払わない場合に、強制執行できる
離婚後一番心配なのは、将来の生活です。
生活していくには「お金」が必要です。
慰謝料の分割払いや子供の月々の養育費などは、毎月の受け取りを基に計算して生活していきますが、その支払いが滞ると生活が不安定になります。
口約束や私文書での契約書では、支払いが履行されないと裁判での話し合いになり、決着するまで相当の時間がかかります。
公正証書だと、支払いが滞った場合には強制執行認諾事項を入れることで、裁判に持ち込むことなく、銀行口座を差押えさせることができます。
② 心理的圧力を得ることができる
公正証書は公証人役場で作成します。
公証人は元裁判官や元検事出身者が多く、実際話をしても事務的な話をする公証人が多いです。
また、役場といえば、市役所のようなイメージがありますが、都市部の公証人役場はビルの中の事務所の一室のような場所です。
ただ、普通の人は殆ど縁が無く、一生に一度も行かない人の方が多いでしょう。
そのような場所で公証人の面前で契約書を作るのは、心理的プレッシャーになります。
そういった意味でも公正証書は支払う側からみても無言の圧力になりますから、公正証書に強制執行認諾事項を入れることで、離婚後も主導権を得られます。
当事務所では、離婚相手方の配偶者の代理人になることが可能です。
この場合、相手方の委任状と印鑑証明書を提出して頂くと、公証人役場に出頭時に相手方の代わりに、手続きをすることができます。
詳しくは当事務所へご連絡ください。
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