交際していた彼女から、「あなたの子供を妊娠したから結婚して。」と言われたのをきっかけに結婚し、子供が生まれたものの、子供の血液型は、あなたと彼女からは生まれてこないものでした。
どうやら、その当時、彼女は他の男性と付き合っていたようです。
この場合、生まれた子と親子との関係を否定したいのですが、可能でしょうか?
このようなケースで、できる手続としては、
嫡出否認の訴え(民法775条)があります。
これは、
結婚をしていても、夫以外の子を産んで出生届が受理されれば、子は夫の「嫡出子」となります。
その為、妻の産んだ子が自分の子でないと確信した場合は、家庭裁判所へ「嫡出否認の申立て」をしないと、そのまま他人の子を自分の子として育てていかないといけません。
自分の子となった以上、扶養する義務もありますし、夫が亡くなると相続も発生します。
ですから、自分の子でないと確信したら、直ちに嫡出否認の訴えをする必要があります 。
但し、この申し立ては父親しかできないので、母親からの場合は「親子関係不存在確認申立て」になります。
① 申立人
・ 夫
・ 夫の成年後見人、成年後見監督人
・ その子どものために相続権を害される者、その他夫の三親等内の血族(夫が子どもの出生前又は否認の訴えを提起できる期間内に死亡したとき)
② 申立て先
相手方(子ども又は親権を行う母)の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所
③ 申立てに必要な費用
・ 収入印紙1200円分(平成23年現在)
・ 連絡用の郵便切手(申立てする家庭裁判所へ確認)
尚、親子の関係がないことを明らかにするために,鑑定を行う場合もあります。
この場合,原則、申立人がこの鑑定に要する費用を負担することになります。
④ 申立てに必要な書類
(1) 申立書
(2) 標準的な申立添付書類は下記のとおりです。
・ 申立人の戸籍謄本(全部事項証明書)
・ 子の戸籍謄本(全部事項証明書)(出生届未了の場合は,子の出生証明書写し及び母の戸籍謄本(全部事項証明書))
※ 同じ書類は1通で足りますが、審理のために必要な場合は,追加書類の提出を求められる場合があります。
嫡出否認調停で「双方が夫の子ではない」と合意でき、家庭裁判所が必要な事実の調査等を行った上で、その合意が正当であると認めれば合意に従った審判がなされます。
出生届は嫡出否認をする場合でも出さなければいけなませんが、それにより嫡出子の承認をした事にはなりません。
嫡出否認は、子の出生時に遡り有効になります。
尚、この嫡出否認の訴えは、夫が子の出生を知ってから1年以内に行わなければなりません。 民法第777条 『 嫡出否認の訴えは、夫が子の出生を知った時から一年以内に提起しなければならない。 』
また別の方法として、
「親子関係不存在確認の訴え」(戸籍法113条)があります。
「婚姻中又は離婚後300日以内に生まれた子どもは、婚姻中の夫婦間にできた子と推定」されます(嫡出推定)ので、本当は他の男性との間の子どもであっても、夫婦の子どもとして戸籍に入籍することになります。
これを否定するためには、原則として嫡出否認の手続きを起こす必要があります。
しかし、婚姻中又は離婚後300日以内に生まれた子どもであったとしても、物理的に妻が夫の子どもを妊娠する可能性がない場合(例えば長期の海外出張、受刑、別居等で夫婦間の性的交渉が客観的に考えられないケース)は、上記のような夫の子であるとの推定を受けることは不合理ですから、家庭裁判所に親子関係不存在確認の調停の申立てを行い、勝訴判決を得れば、戸籍の訂正が出来ます。
① 申立人
・ 子ども
・ 父
・ 母
・ 親子関係について直接身分上利害関係を有する第三者
② 申立先
相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所
③ 申立てに必要な費用
・ 収入印紙1200円分
・ 連絡用の郵便切手(申立てされる家庭裁判所へ確認)
尚、親子の関係がないことを明らかにするために,鑑定を行う場合もあります。
この場合,原則、申立人がこの鑑定に要する費用を負担することになります。
④ 申立てに必要な書類
(1) 申立書
(2) 標準的な申立添付書類は下記のとおりです。
・ 子の戸籍謄本(全部事項証明書)(出生届未了の場合,子の出生証明書写し及び母の戸籍謄本(全部事項証明書)
・ 子との間に親子関係がないと考えられる親の戸籍謄本(全部事項証明書)
・ 利害関係人からの申立ての場合は、利害関係を証する資料(親族の場合,戸籍謄本(全部事項証明書)等
※ 同じ書類は1通で足りますが、審理のために,追加書類の提出が必要になる場合があります。
※ もし,申立前に入手が不可能な戸籍がある場合は,その戸籍は,申立後に追加提出することでも差し支えありません。
出生届を出さずに、親子関係不存在確認の訴えで勝訴判決を得れば、嫡出が推定されない事が法廷で確認されていますから、前の夫の戸籍には子供の名前が載りません。
どちらの手続ができるかは、婚姻の成立から子の出生までの期間によって異なります。
子が婚姻の成立から200日後以降に生まれた場合には、その子は婚姻中に懐胎したものと推定され(民法772条2項)、妻が婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定されます(同条1項)。
このように嫡出の推定を受ける子の場合、これを否定するためには嫡出否認の訴えによる必要があります。
嫡出否認の訴えは、夫のみが提起可能で(民法774条)、夫が子の出生を知った時から1年以内にこれを提起しなければなりません(民法777条)。
1年を経過してしまった場合には、その子の嫡出を否定することができなくなります。
また、嫡出否認の訴えについては、調停前置主義がとられるため(家事審判法17条)、まず家庭裁判所で調停を申し立てることになります。
子が婚姻から300日以内に生まれた場合には、上記の嫡出推定が生じないため、子供や父母だけでなく、親子関係について直接身分上利害関係を有する第三者(相続人など)も親子の関係が存在しないことを確認する訴え(親子関係不存在確認の訴え)を提起することができます。
親子関係不存在確認の訴えは、嫡出否認の訴えの訴えと異なり、いつでも提起可能です。調停前置主義がとられる点は、嫡出否認の訴えと同様です。
どちらの手段を採る場合でも、親子の関係がないことを明らかにするために、鑑定を行う場合もあります。この場合、申立人がこの鑑定に要する費用を負担することになります。
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