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相続財産が「家」だけの場合はどうする

 

権利意識の高まりから、近年相続でも権利主張する相続人が増えています。

 

一昔前なら相続が開始されると長男や長女が主導となって財産処分をして、弟や妹は否応なく承諾させられたケースも多かったですが、最近は相続人も遺産分割に詳しくなり、いざ相続が開始されると、しっかり自己主張して自分の取り分を請求するようになりました。

 

被相続人(財産をあげる人)が遺言書が書かなかった場合は、法定相続分を各相続人で分配することになります。

 

被相続人に現金を含め財産がたくさんある場合は、財産分割もそれもど難しくありません。

 

反対にそのようなケースでは相続税の問題で頭を悩ますことになります。

相続が開始されても、まだ片一方の親が存命していると、親の抑止力があり相続でもめることは少ないですが、両親が亡くなるとこれまで押さえていた感情や考えが一気に高まり、それぞれが自己主張するようになります。

 

最初に書いたように一昔前や地方ではまだ長男や長女に相続に決定権があるところがありますが、最近は法律知識の高まりが後押しして、たとえお兄ちゃんやお姉ちゃんが主導権を取りたくても、そう簡単にいきません。

 

 

小さい頃は一緒に遊んだ兄弟姉妹も結婚し子供が生まれ、日々の生活に追われるようになると、自分たちの生活が大変できょうだいとはいえ、徐々に疎遠になっていくことが多いです。

 

そんな中で親が亡くなり相続が発生すると、親の別れは寂しいもののこれからも生きていく者にとって必要なのは、やはり「お金」です。

 

そして遺産分割協議が始まります。

 

財産がたくさんある相続人にとって困るのは相続税ですが、財産が不動産しかない相続人にとって困るのは土地・家屋の処分です。

 

現金なら1円単位で分割できますが、不動産の場合よほど相続人同士で仲が良くないかぎり、分割は困難です。

 

要するに土地・家屋は、ケーキのように切ることはできないからです。

 

増して遺言書を書かないで亡くなると相続人同士で争いが始まり、「相続」が「争族」に変わります。

こうなると話し合いでは解決できず、家庭裁判所での調停・審判で解決を求めることになります。

 

まだ、話し合いでなんとか解決できる段階ならそれほど兄弟姉妹関係は悪化しませんが、裁判所で解決を求めるとなると、相続問題は解決できても兄弟姉妹関係は修復不可能になります。

第三者に解決を求めるということは、互いの信頼関係が破たんしていることなので、今後の兄弟姉妹関係も破たんします。

 

そこまでして解決を求めるのですから当然といえば当然のことですが、これでは苦労して財産を築きあげた親にとって、これほど親不幸なことはありません。

 

また、親の家に同居して、親の世話をしていた子のケースはどうでしょう?

 

親はその子に面倒を看てもらいたいので一緒に住んでいるし、子も親の面倒を看ているという自負があるから、たとえ親が亡くなってもそのまま、その家に住み続けていくと考えているはずです。

 

しかし、このケースでもし遺言書を書かなかったらどうなるでしょう?

 

この場合、土地・家屋は親の財産ですから他の相続人は当然売却を求めてくるか、その代わりに相続分の財産を現金で求めてきます。

 

その家に住んでいる子が現金を持っていればそれを相続分として他の相続人に支払えば(代償分割)問題は解決できますが、なかなかそううまくいきません。

 

そうなると家を売却(換価分割)しなければなりません。

 

それでは財産が不動産だけの場合どのようにすれば良いのでしょうか?

 

それは、遺言書を作成することです。

 

遺言書を書かないで亡くなると上記に書いたとおり、必ず「争族」が発生します。

 

そして、被相続人は遺言書を作成すると共に、生命保険に加入しておきます。

生命保険は相続財産になりませんから、受取人を同居している子にします。

 

そうすることで被相続人が亡くなると、死亡保険金は同居している子が受け取れますから、その保険金を他の相続人に交付することで家は同居していた子が相続でき、継続して住むことができます。

 

遺言書作成を考えている方は一度当事務所へご相談下さい。

一人で悩んでいても解決はできません。

きっとあなたの力になります。

二世帯住宅の相続問題

 

近年二世帯住宅を建てる家族が増えています。

二世帯住宅は、親としては老後の面倒を看てもらおうと考え、子供としても家の建築費用を負担してもらえるメリットが考えられます。

 

二世帯住宅は、親子互いのメリットがあり、同居の新しい形として受け入れられますが、親に子供が一人しかいない場合は特に問題はありませんが、子供が数人いる場合、相続で問題になるケースがあります。

 

息子(娘)夫婦に兄弟がいる場合は、相続のことを充分に考えておかなければなりません。

 

二世帯住宅を建てる場合、大抵親が所有する土地に親名義・子供名義もしくは親子共有名義の建物を建てるのが一般的です。

こういった場合で親が亡くなると、親の土地以外に相続財産が無ければ、その土地をめぐって相続争いが起きる可能性が高いです。

 

このような状況で遺言書がなかったら、他の兄弟姉妹から法定相続分を要求される可能性があります。

二世帯住宅に住んでいる子は相続分を現金で支払わなければなりません。

 

そうなると、最悪、土地・家屋を売却しなければならなくなります。

最悪の状況にならない為にも、下記の事項を遺言書に書いておく方が良いでしょう。

 

1.二世帯住宅を建てるときに土地を一緒に住む子供に相続するよう指定する。

 

2.二世帯住宅に住む子は親の介護の義務があり、介護してもらう為に土地を相続させることを書く。

 

 

また、親も生前下記のことを準備しておきましょう。

 

1.同居しない他の子供には、生前贈与を与えるなどして遺留分を放棄させる。

 

2.現金での資産が無い場合は、生命保険等で遺留分を支払える準備をしておく。

 

3.二世帯住宅は、上下ではなく左右の住み分け型にして、いざとなれば売却可能に建築しておく。

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