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公正証書の活用

公正証書とは

公正証書とは、公証人が作成する公文書のことをいいます。

もし、債務者が金銭債務の支払を怠ると、裁判所の判決を経ることなく、直ちに「強制執行手続」に移ることができます。(但し、この場合、公正証書に「強制執行認諾文言」を入れる必要があります。)

 

要するに、通常の契約書(私文書)で、金銭貸借や離婚などで養育費の支払など金銭の支払を求める契約をしたにも拘らず債務者が支払わないと、自分から裁判を起して裁判所の勝訴判決を得なければ強制執行をすることができませんが、公正証書を作成しておけば、すぐ、執行手続きに入ることができます。

 

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なぜ公正証書が必要か

私たちは、日常生活の中でも契約書を交わすことがよくあります。

例えば、マンションを借りる時の賃貸借契約書、車を買う際の売買契約書、会社に勤務するときに取り交わす労働契約書など、誰でも一度や二度契約する機会があります。

 

しかし、契約書の中には一方的な文言が入ってあったり、違法な事項が記載されてある場合もあるので、後でトラブルになるケースもあります。

 

そういった法律上のトラブルを避けるために、事前に予防することが必要になります。

しかし、私文書(個人が書いた契約書)は、当事者の一方に都合の良い事項を書かれたり、法律に則って書かれていないケースがあります。

特に問題になるのが、違法な文言を契約書に入れるケースです。

典型的な例でいうと、人身売買や賭博による借金など、公序良俗に反するものです。

民法では公序良俗に反する内容は無効ですが、私文書では理不尽な内容でも、相手方が内容を受け入れれば、契約することもあります。

実際、法律を知らずに契約書通りに履行させられている人もいます。

 

そこで利用されるのが、公正証書です。

公正証書は法律に則って作成され、違法・不法な内容は作成されません(公証人法26条)から、当事者同士が納得できれば、記載された内容が証拠として証明されます。

 

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公証人の認証

公証人の認証とは、一定の文書が正当な手続や方式に従っていることを、公の機関がそれを証明することです。

公証人役場では下記のような私署証書(個人で書類を作成して、署名や押印・記名した文書)を取り扱っています。

 

私署証書の認証

私文書の署名または記名押印の認証

私署証書にある署名押印等が真正(署名押印等が、その作成名義人が行った)であるかを公証人が証明することであり、これにより文書が作成名義人の意思に基づいて作成されたことが推定されます。

 

宣誓認証

公証人の面前で当事者が「証書の記載が真実であること」を宣誓し、証書に署名押印等または証書の署名押印等を自認したときに、その旨を記載して認証することで、宣誓認証を受けた文書を「宣誓供述書」といいます。 

 

定款の認証

定款とは、会社を設立するときに、その会社の目的、内部組織活動に関することを記載する、いわばその会社の法律です。

株式会社や一般社団法人及び一般財団法人等の定款については、公証人の認証を受けなければ効力が生じません。

 

外国文の認証

外国文の認証とは、外国で使用される私署証書で、外国語または日本語で作成され署名押印等のある私署証書に対する認証です。

その文書が海外の相手方に問題なく受け入れられるには、文書が真正に作成されたことが相手方(国や企業、個人)に、容易に確認できなければなりません。

その為には文書に記載された署名の真正を公的機関が証明し、次いで、その公証人等の証明者の署名や公印を別の公的機関が更に証明するという制度です。

公証人の認証を受けた文書は、その公証人が所属する法務局長の証明を経て、外務省領事部で公印証明を受けた後、相手国(当該文書を提出する相手方のいる国)の駐日大使館(領事館)で、領事認証を受けるケースがあります。

但し、この手続きを簡略化するものにハーグ条約があります。

ハーグ条約加盟国で行使する文書については外務省の公印証明(アポスティーユ)の付与を受ければ、在日の当該国の領事認証は必要ありません。 

 

電子公証

 

電子公証制度は、平成14年度からスタートし、それまでは紙の文書に対して行ってきた私署証書の認証や確定日付を、電磁的記録(電子文書)にもできるようになりました。

電子公証で必要とされる電子証明書は、当初は商業登記制度に基づく電子証明書に限られていましたが、現在、電子認証のうち、株式会社の電子定款が最も多く利用されています。

これは紙による定款の場合に義務付けられている4万円の収入印紙の貼付が、電子定款では免除されます。

 

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公正証書の活用

私たちが契約書を作成するとき、お互いの合意によって作成します。

 

これは私文書による契約といい、双方が契約内容に納得できれば、有効に権利・義務が発生します。

しかし、互いに納得したからといって、全ての契約が有効になるわけではありません。

たとえば、愛人契約や、賭博による支払い契約は、公序良俗に反する契約ですから、契約自体無効になります。

 

公序良俗 → 公けの秩序と善良の風俗の意味

ですから、公序良俗に反する契約は、全て無効になります。

それ以外の契約でも、法律に反する内容は、たとえお互いに合意しても無効になります。

 

勿論、口約束でも契約ですから、契約が成立したなら履行する必要は出てきますが、口約束は結局、「言った」・「言わない」の問題が発生するので、困難な履行の場合は難しいでしょう。

他に「殺人依頼」も当然無効ですし、相手ができないことを知っていながらの契約も、無効になります。

日々の生活が苦しい人が、そのことを知っている友達に1000万円あげる契約をしても、友達は支払えないことを知っているので、それが贈与契約であっても、無効になります。

 

これを心裡留保(民法93条)といいます。

これらのような極端な契約とは別に、私達は生活する上でいろいろな契約をしています。

 

身近なところでは、マンションを借りるときには賃貸借契約をしますし、会社で働くには雇用契約を結びます。

このように日常生活でも、契約は切っても切り離せない関係です。

しかし、日常生活での契約は相手を信頼して殆どが私文書による契約で成立して、公正証書を作成するまでに至りません。

 

ところが、相手を信用できないと、私文書では将来発生する問題に、不安が生じます。

たとえば、ある機械を100万円で売る契約をして、Aさんは機械を引き渡したのに、Bさんは機械の代金を支払わないケースです。

 

法律は自力救済は認めませんので、Aさんが機械の代金を回収するには直接交渉するか、裁判で請求の確定判決をもらう必要があります。

 

それでは、いつになったら代金回収できるか分かりませんし、たとえ回収できてもその時は満額支払ってもらえない可能性があります。

増して弁護士を雇うと弁護士費用を払わなければなりません。

弁護士費用は着手金プラス成功報酬で、数10万円掛かります。

少額の場合は、ようやく支払いを受けても弁護士費用で殆どお金が残らないこともあり得ます。

 

では、危険度が高い契約をする場合、どうすれば良いでしょうか?

そのようなケースでは私文書による契約はせずに、公証人役場で公正証書による契約書を作成することをお勧めします。

 

公正証書は、公証人が当事者(契約者)の嘱託によって作成する文章です。

特に金銭の一定額の支払いを目的とする請求については、「強制執行認諾文言」を入れることで、相手方が約束通り支払いをしない場合でも、裁判所に支払い請求訴訟を提起することなく、公証人役場で執行文の付与を得て、相手方の財産を差し押さえることができます(民事執行法22条5号)

 

また、強制執行認諾文言の付された公正証書を「執行証書」といい、裁判所または裁判所の書記官の関与なく作成できる唯一の債務名義になります。

 

債務名義 → 法律により執行力を付与された公正の文書

 

但し、強制執行認諾文言は金銭の一定額の支払い以外に、代替物・有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求のみ効力を有し、不動産の引渡しなどには効力がないので、注意する必要があります。

ただ、私文書であれ、公正証書であれ、法律に則って契約書を作成するので、いざ契約書を作ろうと考えても、なかなかうまく書けません。

 

行政書士は、契約書作成のプロですから契約書の作成でお困りでしたら、一度ご相談ください。 

 

特に公正証書の作成は、公証人役場で公証人と原案作成から始める必要があり、時間と手間がかかる上、精神的負担も増します。

 

当事務所ではあなたの最初のご相談から、公証人との交渉で公正証書作成に至るまで、全てサポートしますので、安心してご依頼できます。

 

契約書でお困りの方は是非ご相談ください。

あなたの悩みも解決できます。

 

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公正証書の信用性

 

公正証書は、私文書と違い国の機関である公証役場で厳格な手続を経て作成されるので、裁判でも公正証書は、証拠として直ちに採用されます。

 

ですから、公正証書にする内容が法律に違反したり、内容に無効や取消しの原因になる場合は、公正証書を作成することが出来ません。

 

一方、私文書の場合は、当事者間で作成するので、自分たちでは同意していても、いざ履行するときに、法律違反や公序良俗に反すると、無効や取り消しになります。

また、いざ履行しようにも相手方が応じなければ、前に進みませんし、文言が不明瞭で履行できない場合があります。

 

例えば、不動産の賃貸借契約書には、賃貸人(家主)に有利な文言を入れてあるケースが多いです。

 

そういった契約書では、たとえ賃貸人に有利な契約書でも、いざ訴訟になれば負けてしまう可能性が高いです。

 

その為、私文書を作成するときは、その点を十分留意して作成しなければなりません。

 

その点、公正証書を作成すれば違法や違法性がある文言を避けることができるので、契約書の確実性が担保できます。

 

遺言書も同じで、被相続人が違法な文言を入れたくても、そういった公正証書は作成できません。

 

公正証書は、作成の段階でなチェックをしますので、内容が担保されます。

 

更に、作成された公正証書の原本は、公証役場において厳重に保管されますから、公正証書の紛失、盗難、偽造、変更を避けることができます。

 

また、当事者が正本または謄本をを紛失しても、公証役場に届出れば、いつでも、新たに正本または謄本を作成をして貰えるメリットがあります。

 

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強制執行認諾文言とは

者が支払いを滞った場合は、債権者が支払いを求めますが、支払いを拒否されると最終的には裁判で勝訴した上で、強制執行を行うことができます。

この強制執行を行うには、確定判決や仮執行宣言のある判決、支払督促、確定した和解調書といった「債務名義」が必要になります。

しかし、この債務名義を経ることなく債権回収することができます。

それが「強制執行認諾文言」が入った公正証書を作成することです。

 

強制執行認諾文言とは債務履行を怠ったときは、直ちに強制執行に服するということで、この強制執行認諾文言を入れた公正証書を作成しておけば、それ自体「債務名義」と認められる為、裁判や支払命令が無くても、直ちに強制執行手続を求めることができます。

 

強制執行認諾文言を入れる契約書としては、金銭貸借や離婚協議書を作成する際に、慰謝料や子の養育費の支払いを求めるケースに有用です。

 

この強制執行認諾文言は、売買代金の請求や貸金の返還請求といった金銭の支払請求のみ認められており、物の引き渡しには該当しません。

 

「強制執行認諾文言」は、公証人役場で公正証書を作成する必要がありますから、個人間での契約書で「強制執行認諾文言」を入れても履行できません。

 

但し、公正証書を作成しても、その内容自体が客観的事実であることまで証明しませんから、紛争性がある内容では揉める可能性はあります。

 

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強制執行するための債務名義とは

強制執行するには、債務名義が必要です。

債務名義とは、強制執行によって実現しようとする権利の存在や内容を証明するものです。

たとえば、私文書契約の内容を相手が履行してくれない場合は、訴訟して勝訴判決を求めることになります。

しかし、判決が出ても、それに従わない人もいます。

その場合、勝訴した人はさらに裁判所に申し立てて、強制的に相手方の財産を回収することになります。

これを強制執行といいます。

 

一般的に裁判で勝訴判決を得てから強制執行に入りますが、公正証書を作成しておくと、債務名義としての効力があるので、わざわざ裁判をしなくても、不履行があった場合に裁判を経ずに、強制執行に移ることが可能です。

但し、公正証書を作成しただけでは、必ず債務名義になりません。

民事執行法第22条5号により、下記の2つの条件を充たす必要があります。

 

① 「金銭の一定の額の支払い、又はその他の代替物もしくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求

金銭の一定の額の支払い、又はその他代替物あるいは有価証券の一定の数量」ですから、不動産や特定の動産は強制執行できません。

また、「一定の」というように、10万円や100キロの牛肉というように決まっていなければなりません。

代替物」とは、同じ種類、同じ量、同じ質のものでよく、ガソリンや米といったものをいいます。

有価証券」とは、手形、小切手といった財産権を現した証券のことをいいます。

 

②「債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているもの

たとえば、①の条件を満たしていても、更に債務者が強制執行に服する旨の陳述が記載されてなければ、債務名義にはなりません。

強制執行に服する旨が記載されることで、強制執行することができるのです。

これを強制執行認諾文言といいます。

 

  ➡「強制執行認諾文言」とは

 

要するに、「公正証書」に「強制執行認諾文言」が備わって、はじめて強制執行に移ることができるのです。

 

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公証人の手数料

公証人役場で公正証書を作成してもらうには、公証人に作成にかかる手数料を支払わなければなりません。

 

 公証人の手数料は以下のとおりです。

  

法律行為の公正証書 
 目的の価額 手数料 
 100万円以下のもの 5,000円 
 100万円以上200万円以下のもの 7,000円 
 200万円以上500万円以下のもの 11,000円 
 500万円以上1,000万円以下のもの 17,000円 
 1,000万円以上3,000万円以下のもの 23,000円 
 3,000万円以上5,000万円以下のもの 29,000円 
 5,000万円以上1億円以下のもの 43,000円 

 1億円以上のものは、3億円までは超過額5,000万円ごとに13,000円、

10億円までは11,000円、10億円を超えるものは8,000円を43,000円に加算する。

    

  算定不能なもの    11,000円 

 

  

遺言の手数料 
 祭祀主宰者の指定 11,000円 
 目的の価額の総額が1億円以下 110,00円加算 
 秘密証書遺言  11,000円
 遺言の撤回  11,000円

 

 

 相続及び遺贈を受けるものが2人以上ある場合は、各相続人及び受遺者ごとにその目的の価額(その人が受け取る利益の総額)によって手数料を算定し、それを合算した額 。

  

例)推定相続人が配偶者と長男、次男の子供2人であり、目的の価額が9,000万円で、配偶者に5,000万円、子供人1人に2,000万円づつ相続させる場合の手数料は、

 29,000円(配偶者)+23,000円(子供)+23,000円(子供1人)+ 11,000円(1億円以下)

   =86,000円(公証人手数料) となります。

  

 

私署署名の認証  11,000円 
私署署名の宣誓認証 11,000円 
私署署名が外国文である認証 5,000円加算 
執行文の付与  1,700円 
確定日付の付与  700円 
定款の認証 50,000円(別途収入印紙代 40,000円) 
株主総会等の議事録の認証  23,000円
謄本等の送達 1,400円(送料加算) 

 

 

 目的価額の算定例

   

金銭貸借・債務弁済等の片務契約  貸借金等の額
売買契約等双務契約  売買代金等の2倍の額
不動産賃貸借契約  期間中の賃料総額の2倍の額(但し10年分まで)
担保設定  担保物件と債権の額のいずれか少ない額。債権契約とするときは、少ない額の半額を債権額に合算した額。

 

 

 例)離婚協議書で下記内容で公正証書作成すると、

養育費を毎月6万円 × 12ヶ月支払う × 10年(10年以上でも最大10年計算)

    = 720万円  → 17,000円 手数料

 

配偶者に慰謝料500万円  → 11,000円 手数料

17,000円 +  11,000円 =  28,000円(合計手数料) となります。

 

 

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