被相続人(財産をあげる人)が亡くなると相続が開始され、被相続人が所有されていた一切の財産は相続人が相続することになります。(民法896条)
ただし、扶養請求権や恩給請求権といった、一身専属権は除外されます。
各相続人はその相続が開始されたことを知ったときから相続が開始します。ですから被相続人と全く音信不通になっていたり、亡くなったことが知らない場合はこれに該当しません。
相続開始後に相続放棄や限定承認しない限り、「単純承認」といって相続財産は相続人が相続したものと扱われます。
相続人がひとりだけであれば全財産を相続できますが、多くの場合は複数の相続人がいるので、すぐには相続人の確定ができない場合もあります。
相続人が複数いれば、相続財産は全部の相続人の共有として扱われ、相続人が共同して管理することになります。(民法898条)
相続人の財産の調査はプラスの財産はもちろん、マイナスの財産もリストアップする必要があります。
プラスの財産としては、土地、家屋、借地・借家権、現金、株券、ゴルフ会員権、貸付金など、要するに金銭価値があるものです。
マイナスの財産は借入金、各種ローン、保証債務、事業の未払金、買掛金、未納の税金やクレジットカードの未決済金などです。
特に相続人の借入金をしっかり把握していないと、プラスの財産が多いと過信し単純承継したものの、後日借入金がプラスの財産より多く、相続人が被相続人の借金を背負うこともあり得ます。
非相続人が相続人に借金の心配をかけさせない為に、借用書などを隠しているケースもありますので、契約書やカード請求書または督促状など、故人が保管していそうな場所を念入りに調べる必要があります。
また、不動産は登記事項証明書を取得して抵当権設定の有無を調べたり、取引銀行の残高証明書で借入金を調べることも可能です。
プラスの財産・マイナスの財産するにあたって、遺産をすべてリストアップする必要があります。
相続放棄は相続があったことを知ったときから3ヶ月以内に家裁に申し立てしなければならず、その期間を過ぎたら単純承認したこととなります。
ですから3ヶ月経過してしまうと、相続放棄ができなくなりますから、プラスの財産とマイナスの財産を調査して、どちらが多いか早めに確定しなければばりません。
プラスとなる遺産は下記のとおりです。
①. 現金および預貯金
②. 動産(自動車、美術品、家具等)
③. 債権(売掛金も含みます)
④. 株式
⑤. 生命保険金、死亡退職金等
⑥. 土地および家屋
マイナスとなる遺産債務は下記のとおりです。
①. 借金
②. 住宅ローン
相続財産の調査は時間と手間がかかりますから、専門家に相談することも良いと思います。
土地や家屋等の不動産についての調べ方として、、一番オーソドックスなのが、土地・建物の権利証で「登記簿謄本を取得」しましょう。
法務局で登記簿謄本(登記事項証明書)を取得したら、権利部に記載されている所有者を確認する必要があります。
このとき、土地や建物に抵当権や根抵当権などの権利が付いているかも確認します。
また、市町村役場から毎年送られてくる、土地・家屋は「固定資産税課税通知書」で記載事項を確認できます。
この通知書では土地や建物の権利証がなくても、簡単に相続財産を把握できます。
そこには、土地や建物を所有者名、不動産の地番・家屋番号が記載されています。
但し、固定資産としての評価が極めて低い土地や建物については、この課税通知書が送られてこないことがあります。
その為、市町村役場で「固定資産名寄帳兼課税台帳」を取得しましょう。
これにより被相続人が所有する、土地・家屋が把握できます。
預金などの残高・移動明細記録の調べ方
被相続人の通帳が見つかったら、預金残高証明書を取得しましょう。
この預金残高証明書の申請をすると、故人の口座はすぐ凍結され、遺産分割手続が終わるまでその預金は動かせなくなってしまいますので注意が必要です。
亡くなる以前・以後の通帳の動きを調べたい場合には、預金の移動明細記録をとることもできます。
また、被相続人が生前取引があったと考えられる金融機関にも、口座がないか「名寄せ」手続を取ると発見されるケースもあります。
株や国債などの有価証券については、評価証明書を取得します。
被相続人が口座を開いていた証券会社や信託銀行等に「評価証明書」の発行を申請します。
これにより株や国債が、亡くなった時点=相続が発生した時点でいくらの価値があったのかを、証券会社や金融機関に証明してもらえます。
そして、相続する有価証券を金銭的に評価することができます。
借入金、債務についての調べ方
預貯金を把握するのは難しいですが、借金を把握するのも難しいです。
借金がありそうでしたら、各信用情報機関に亡くなった方の個人情報開示の請求しましょう。
信用情報機関とは、金融機関が貸出を行う際に参考にする、各人の借入額の総合データを保有する情報機関です。
銀行系信用情報機関や、クレジット会社系信用情報機関等に問い合わせをすれば、借入や債務が把握できます。
また、ローンや銀行の借入については引き落とし口座を見て確認します。
他にも個人的な貸し借りについては、契約書、借用書などの有無を調べてみる必要があります。
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