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遺言書の種類

遺言書の作成にあたり

 

元来日本では「遺言」といえば暗いイメージを浮かびますが、英語では「will」=意志、決意という意味があります。

  

日本でこの「意志」が法的有効になるのが、15歳からです。

 

 では何故遺言を書くのでしょうか?

 

一つは「自分の意志の為」、即ち、自分の財産を、自分の判断で好きなように相続人、または自分の関係者に分け与えることであり、また、身内の財産争いを避ける為に作成するのです。

 但し、遺留分侵害はできません。

  

では具体的にどのような場合に利用するかは、下記のように考えられます。

  

A) 将来実子同士が遺産相続で紛争する可能性がある。

B) 非嫡出子を認知させたい。  

 C) 内妻がいる。

 D) 自分の看病を息子の嫁に看てもらっている,又は第三者の世話になっている。

どのような遺言書があるでしょうか?

 

遺言は遺言書の作成方法により、いくつかに分けられます。

 

遺言には普通方式特別方式に分けられます。

 

特別方式には船舶が遭難したときや伝染病による隔絶者遺言といった緊急・災害時の際に行う遺言ですが、このホームページでは通常生活(普通方式)での遺言について説明します。 

 

まず普通方式の遺言として、3通りがあります。

 

 1.自筆証書遺言

 遺言者(遺言を書く人)が、自分自身で書く遺言です。

 書き方は  遺言者が自筆で遺言の全文日付氏名を自分で書き最後にを押します。

 この中で大切なのが、全て自分の手で書くことです。

 勿論、代筆は無効ですし、ワープロ、パソコンで書いたのも無効です。

 ですから自筆で書けない人は自筆証書遺言を作ることが出来ませんので、後で説明する秘密証書遺言か公正証書遺言を作らないといけません。 

 

自筆証書遺言は遺言の中で一番簡単で手間もかかりませんが 、下記のような問題が発生する可能性があります。

  

 簡単に作成できますから、遺言書の保管に注意が行き届かなくなることがあります。

 

同様に遺言者の死後保管場所が分からず、発見されない恐れがあります。

 

さらに遺言書が発見されても、遺言の内容に不利な相続人によって破棄されたり、勝手に改変される危険性があります。

 

② 一人で作成できるので、遺言書をチェック出来ず法的に無効な書き方をしたり、遺留分侵害して、遺言者の死後に、かえって相続人同士がもめる可能性があります。

 

 ③ せっかく書いた遺言書も、すぐに相続手続はできません。

   

遺言書が実行されるには、家庭裁判所での検認手続が必要です。

 最近、家庭裁判所の検認手続が増えているので都会では2~3ヶ月待たされることがあります。

 

2.秘密証書遺言

   自筆証書遺言のように遺言者の署名・押印が必要なのは同じですが、遺言書そのものは自筆でなく、ワープロやパソコンなどで書いても他人が書いたものでも問題ありません。

 但し、署名が必要ですから、自署できない人は秘密証書遺言はできません。

   

出来上がった遺言書は自宅でそのまま保管するのではなく、公証人役場に持って行き、必要な手続をします。

     

以下は手続の方法です。

 ①.遺言を書いたら封筒に入れて遺言書に押した印鑑を使用して封印します。もし遺言書と違った印鑑で封印すると無効になりますので注意が必要です。

  

②.遺言者は封印された遺言書を公証人役場に持って行き、公証人と証人2名以上の前で封印された遺言書を提出し、自分の遺言書であることを申述します。

  

③.他人よって書かれた遺言書は、代筆者の住所、氏名を申述します。また、口が利けない場合はその旨を封紙に書き住所、氏名を自署します。

  

④.公証人は遺言書の入った封筒に封紙を貼り、その日の年月日を記載し、公証人、遺言者、証人がそれぞれ署名、押印します。

  

⑤.出来上がった遺言書は自分で保管します。

  

 秘密証書遺言の長所

 遺言書が入った封筒に公証人が封紙を貼るので、中を改変される可能性は少ないです。

字を書けない人にとっては、代筆も可能です。

  

秘密証書遺言の短所

 基本的に秘密証書遺言のように遺言者が保管するので、自分が不利ではないかと疑う推定相続人によって遺言書を隠匿、もしくは破棄される危険性はあります。

 また、遺言者の死後、発見されない可能性もあります。

 

遺言者の死後、秘密証書遺言は自筆証書遺言同様、家庭裁判所の検認が必要です。

   

3.公正証書遺言

 遺言を確実なものにしたい場合は、公正証書遺言が良いでしょう。

 

公正証書遺言の方法は下記の通りです。

 ①.遺言者は証人2名を立会人として、公証人の面前で遺言を述べます。

 ②.公証人は遺言者が口頭で述べた遺言の内容を筆記し、遺言者と証人に読み聞かせます。

 ③.遺言者と証人は筆記内容が正確であると確認すると、それぞれ署名、押印します。

    

遺言者が署名できないときは、公証人がその理由を付記し、署名に代えます。

 

尚、押印する印鑑は実印を使います。

   

  ④.公証人はその遺言書が上記の経過を経て作られたことを付記し、署名、押印します。

    

公正証書遺言の長所

 自筆証書遺言や秘密証書遺言は、家庭裁判所の検認が必要ですが、公正証書遺言は検認が不要です。

   

公正証書遺言の原本は公証人役場で保管されるので、捏造される危険性はありません。

   

公正証書遺言の短所

 証人2名必要ですから、なかなか証人を見つけるのが難しいです。

 また、推定相続人(相続人予定者)や、未成年者等は証人になれません。

 更に、公正証書遺言は安全で確実ですが、手続が面倒で費用がかかるので、気軽に利用できません。

   

 これら3つの遺言を、自分にあった方法で書くことがベストです。

 

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