強制執行するには、債務名義が必要です。
債務名義とは、強制執行によって実現しようとする権利の存在や内容を証明するものです。
たとえば、私文書契約の内容を相手が履行してくれない場合は、訴訟して勝訴判決を求めることになります。
しかし、判決が出ても、それに従わない人もいます。
その場合、勝訴した人はさらに裁判所に申し立てて、強制的に相手方の財産を回収することになります。
これを強制執行といいます。
一般的に裁判で勝訴判決を得てから強制執行に入りますが、公正証書を作成しておくと、債務名義としての効力があるので、わざわざ裁判をしなくても、不履行があった場合に裁判を経ずに、強制執行に移ることが可能です。
但し、公正証書を作成しただけでは、必ず債務名義になりません。
民事執行法第22条5号により、下記の2つの条件を充たす必要があります。
① 「金銭の一定の額の支払い、又はその他の代替物もしくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求」
「金銭の一定の額の支払い、又はその他代替物あるいは有価証券の一定の数量」ですから、不動産や特定の動産は強制執行できません。
また、「一定の」というように、10万円や100キロの牛肉というように決まっていなければなりません。
「代替物」とは、同じ種類、同じ量、同じ質のものでよく、ガソリンや米といったものをいいます。
「有価証券」とは、手形、小切手といった財産権を現した証券のことをいいます。
②「債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているもの」
たとえば、①の条件を満たしていても、更に債務者が強制執行に服する旨の陳述が記載されてなければ、債務名義にはなりません。
強制執行に服する旨が記載されることで、強制執行することができるのです。
これを強制執行認諾約款といいます。
要するに、「公正証書」に「強制執行認諾文言」が備わって、はじめて強制執行に移ることができるのです。
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